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* 第十二話 * ~茂樹の場合~ ②

佑介は、妙子ちゃんにメロメロで、店に着いてからも、お酒の注文や料理の取り分け等、信じられないくらい甲斐甲斐しく動いていました。


男としてのプライドはないのかなあとチラっと感じましたが、本人が楽しければいいかと思い直しました。


尽くし型の男ってのもいるんですね。


それとも釣り上げるまでは投資を惜しまないタイプなのでしょうか。


釣ったあともこうなら女性にとっては素晴らしく都合の良い男性でしょう。


同僚の新たな一面を僕は興味深く観察していました。


反面、妙子ちゃんはあまり佑介には恋愛対象としての興味はなさそうな素振りをしていて、僕は心の中で面白がっていました。


そして、問題は郁美です。


彼女はなかなかに積極的なタイプらしく、僕も少々タジタジ…。


「ねえねえ、後藤君。携帯何使ってるか見せてー」


携帯電話を渡すと、何やらポチポチ打っているではないですか。


おいおい…と思っていると、郁美の携帯が鳴り出し、すぐに切れました。


「えへへー、後藤君の番号ゲットー」


きゃはははと楽しそうに笑って、郁美は僕に携帯を返してきました。


「リダイアルのとこの私の番号、ちゃんと登録しといてね」


「う、うん…」


参ったなーと言いつつ、多分僕はニヤニヤしていたと思います。


随分と簡単に電話番号が手に入ってしまったワケで…。


浮かれてポチポチとその場で電話帳登録している自分もちょっと格好悪かったかなと今は反省しています。


「うふふ」


郁美は正面からまじまじと僕の顔を眺めながら、カシスウーロンを飲んでいました。


「ふーむ、なるほどジャニーズ顔ねえ…」


郁美はテーブルに乗り出して、言いました。


「強いて言うなら、中村繁之に似てるよね」


「古っ!」


すかさず妙子ちゃんの突っ込みが入って、女の子二人は顔を見合わせて笑っていました。


「おばちゃんによく言われるよ…」


僕も頭を掻き掻き、中村繁之似を認めました。


この夜は、たくさんお酒を飲みました。


どうやら楽しかったみたいです、僕。


「このあとどうする?俺、車近くに停めてあるから、ドライブでも行こうか」


佑介が提案しました。


「えー?飲酒運転じゃない、大丈夫?」


一応、妙子ちゃんは心配していましたが、この当時はまだそんなに罰則も厳しくなかったし、結局4人で晴海まで行くことになりました。


途中、照明の美しい橋を渡りながら、運転席の佑介が語ります。


「俺、この景色好きなんだ。大事な人は必ず連れて通る道なんだよ」


助手席に座っている妙子ちゃんに言っているんだろうと察し、僕は口を挟みませんでした。


内心、くっせえ口説き入ってるなーとちょっと笑っていましたが。


後部座席の僕と郁美は、酒がまわっていたのもあり、お互い寄りかかって、今にも寝そうでした。


くるくるした髪の毛から漂うシャンプーの良い香りが僕の鼻孔をくすぐって、とても心地よかったのを覚えています。


晴海に近づき、赤鉛筆のような形をした建物が見えてきました。




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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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