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* 第十壱話 * ~杏子の場合~ ⑬

…毅へ。

…ファックス読んだよ。

…毅が知った斉藤君との別れの理由は、浩太さんから聞いた内容でおおよそ正しいと思います。

…私の自己中心的な考えのせいで、本当にごめんなさい。

…だけど、これ以上、斉藤君にも自分にも嘘がつけなかった。

…やってしまったことは最低だけど、別れたことは後悔してない。

…ただ、やっぱり毅のことが好きだから、斉藤君とは付き合えないって思ったことは、本人に言わなくても良かったことだよね。

…無駄に傷つけたと反省してます。

…斉藤君に、私とあなたがグルで、彼をからかったと誤解されてしまったんだね。

…私が至らぬせいで、気付かぬところで毅にもとても嫌な思いをさせてしまった。

…そんなんじゃ、見切られるのも無理はないよね。

…このまま傍にいても、不愉快な思いをさせるだけ。

…もう、会わなくても大丈夫なように、頑張るね。

…今まで仲良くしてくれてありがとう。

…毅と一緒に居られた時間は宝物です。

…こんなこと言われるの嫌かもしれないけど。

…無理難題を吹っかけられても、毒舌で攻められても、振り回されても、それが毅で、そのまんまのあなたと過ごす時間が、とても大切だったんだ。

…距離をおきたいと言われたら、それを受け入れるしかないと思います。

…私の居場所を自業自得で失ったんだと思う。

…迷惑かけてごめんね。

…許してもらえないかもしれないけど。

…杏子より。




杏子からのファックスを読み終わった有野は苦笑いをした。

「死ぬ気か?」

冗談でつぶやいてみて、ハッとする。

「…マジかよ」

有野は慌てて受話器をあげると、杏子にかけようか逡巡したあと、やっぱり芳野に電話をした。

幸い、在宅だった。

「あ、芳野君?俺。あの…、キョンが、もしかしたらキョンが自殺するかもしれない」

「な、どういうことだよ」

「昨日、怒りに任せて、あいつに言ったんだ。二度と俺に関わるな、距離をおきたいって」

芳野にも緊迫感が伝わった。

「そしたら今、キョンからファックスが来て、なんか内容が永遠にさよならしそうな勢いでさ」

芳野の脳裏に杏子の顔が浮かんだ。

杏子は、有野の躁鬱に近い上下の激しい性格に影響されている。

すぐに死を連想する有野に洗脳されているも同然なのだ。

「俺、距離おくって言っちゃったし、今さら連絡できないし、芳野君確かめてみてくれないかな」

「…わかった。自宅に電話してみる」

芳野は、すぐさま杏子の家の番号をダイアルした。

少し長めに呼び出し音が鳴り続いた後、杏子の父親が出た。

なんとなくだが、声が強ばっているように感じた。

「ちょっと取り込んでいて、杏子は電話に出られません」

嫌な予感がした。

どうにか取り次いでもらおうと必死に食い下がったが、電話は切られた。

少し考えて、芳野は斉藤に連絡した。

「おい、キョンの様子がおかしい。何か聞いてないか?」

「え?どういうことすか?」

話を聞いた斉藤は、とりあえず一筆書いた。

『キョン、大丈夫か?何かあったんなら連絡しろよ。斉藤』




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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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