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* 第十話 * ~武彦の場合~ ④

あの夜の俺のことを一言で表わすとしたら、それはやっぱり“虫の居所が悪かった”、だろうな。


シングルの部屋に入った俺たちは、たったひとつしかない狭いベッドの上で一戦交えた。


妙子は、俺のことが怖かったんじゃないかな。


それは怒られるから怖いとか、そんな単純なことじゃなくて。


いや、断っておくが、別に俺は怒ってはいなかったし。


そうじゃなくて、完全に恋愛の悪い面が顕れちゃってたっていうのかな。


俺にそっぽを向かれるのが怖かったんだろう。


繋ぎ止める為に必死だった。


自分からフェラをする女?つまり、俺のご機嫌を伺う女。


俺、そういうのダメ。


本当に愛する彼女にそんなことさせたくねえよ。


だから、よせよって途中で止めた。


俺を気持ち良くなんかさせなくていいんだ。


妙子、お前が俺の腕の中で、俺の愛撫で感じていてくれれば、それだけで良かったんだ。


俺はそういう女を望んではいないんだ。


結局、伝わらなかったみたいだけど。


目が怯えていたもんな。


多分、よせって言ったの、ヘタクソだからやめてくれって意味で受け止めたんじゃないかな、あの子。


どうしてそんなに自信なくなっちゃったんだ?


なんで、そんな風俗嬢みたいなことするんだ?


初めて出会って、恋をして、だけど遊びなんだろうと妙子が自分なりに結論づけていた俺とのことを、一ヵ月後に俺自身が蒸し返した。


付き合ってもいいかなって思ってたからこそ、連絡したのは嘘じゃない。


だけど、せっかくの再会のこの日に天気はこれだわ、相手は弱気に変わっちゃってるわ、なんつうか闘志湧かないよね。


やる気も殺がれるさ。


あの子、本当の恋愛をしたことなかったんじゃないかな、きっと…。


もっと割り切って、セフレとか?


そんな風に言ってあげれば良かったのかな。


でも、そういうつもりじゃなかったっていうか、そういう浅ましい表現はしたくないというか。


普通、セフレなんか望まないだろう。


俺のプライドの問題かもしれないけど。


とにかく、妙子とこの日一晩寝て、違うってことだけは自分の中でハッキリしたんだよ。


あの子に、俺は今後も惚れることはない。


俺はもっと生意気な女でいて欲しかったんだ。


媚びるな、そんな目で俺を見るな。


どこでそんな風に堕ちてしまったんだ。


朝までの残りの夜、俺はさっさと眠ってしまった。


真夜中に気付いたよ。


隣で妙子が膝を抱えて、泣いていたこと…。


でも、そんなの知ったこっちゃない。


ガーガーと鼾をかいて寝てやったよ。


下手したら、屁もこいたかもしれないな。


俺のことが好き過ぎて、俺の一挙手一投足が気になって、言いなりになるような女は好みじゃないから。


今思えば、冷た過ぎたかなって反省するけど、なんにせよ、ほら、虫の居所が悪かったんで。


これで、ジ・エンド。


朝、目が覚めて、顔色の悪い妙子が、屈んで帰り支度をしていた。


ベットに腰を降ろして、煙草をふかしていた俺は何を思ったかこう言った。


「また、今度、食事でも行こう…ね」


そう言いながら、言っている途中で可笑しくなって笑ってしまった。


そんなこと、これっぽっちも思っていないのに、何言ってんだよ、俺の口は。


妙子も泣きそうな顔で微笑んで、小さい溜息をついた。


まだ残っていた煙草を灰皿に押し付けると、俺は立ち上がった。


「さ、行くか」


俺はカードキーを片手に、妙子に言った。


「ここシングルだからさ、二人で泊まったってバレると困るから、俺ひとりでフロント行くから」


妙子は少し驚いた顔で俺を見た。


「このドア出たら、バイバイな」




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Comment

ばん | URL | 2008.10.27 14:39
お久しぶりです

いつもドキドキしながら読んでますよ!


小説めちゃめちゃ上手くて頭が下がります。

今後ともよろしくお願いします!
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:39
>ばんさん

誉め殺しだから~(*/ω\*)
†緇騎士† | URL | 2008.10.27 14:41
■ペタ嬉しいぞー!!!

へぇ~っ、器用にうまく書くもんだね~っ。
(・o・)ちゅげぇ。

まだちゃんと読んでないし、お気に入りにも入れてないし、普段ペタしないけど、またペタペタくれる時があって俺にゆとりあればもっとちゃんと読んでみたいでゲス♪
書き書きガンガレー(^O^)/

香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:42
>緇騎士さん

コメントありがとうございます。
猫ちゃんの写真、可愛かったです。
またご縁がありましたらお越しくださいませ^ー^)人(^ー^

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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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