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* 第十話 * ~武彦の場合~ ②

俺は気が強い女が好きだ。


妙子と初めて会った日、俺はノリで軽く頭を叩いたり、かなりキツい口調で突っ込んだりした。


可愛い子は苛めたくなるサガ、わかる?


それにムカつく妙子の様子を見るのが面白かった。


普通は場の空気を読むだろうに、あの子は本気で怒ったらしく、席を立ったんだ。


俺は、その態度にグッときたんだ。


だから、必ずこいつを落とすと決めた。


帰り際、かなり強引にデートに誘った。


誘った段階で断固拒否されれば諦めるつもりだったが、妙子は仕方なさそうにもとりあえずは応じた。


脈はあると思ったね。


実際にデートしてみて、妙子の変化はよく分かったよ。


最初は前の日同様、つっけんどんな感じでさ、表情も強張ってた。


でも俺も頑張ったの。


紳士を演じたし、テレビディレクターという職業を活かして、かなり業界の裏話もした。


女なんてミーハーだから、意外と食い付くんだよね、タレントの誰それがどうしたとか。


あとは金でキレイなところを魅せる。


支払いは当然だけど、そういや番組の打ち上げで掛かった費用ン百万、ポケットマネーで俺一人が払った話したら、相当尊敬の眼差しだったな。


で、まあ、その夜のうちに妙子をいただきます出来た訳。


正直、もっとてこずりたかったね。


想像してたより、遥かに簡単だったから。


妙子も分かってたみたいで、別れ際、後悔した顔してた。


俺としちゃ、そのまま終わりにしたって痛くも痒くもない訳で。


けど、ここはキープの線も留めておかないと。


だから、俺はお前の彼氏だ!ばりに、信じて待ってろ的な事を言ってみたのよ。


バイバイしてから、留守電に。


ところが。


一切、コールバックなし。


妙子は、俺が考えてた以上にプライドが高くて、理解あるイイ女なんだと思ったね。


あの子は、俺がワンナイトラブのつもりだったと悟ったんだと。


でもさ、反応ないと、逆に俺の方が気になっちゃってさ。


実際、俺ってマジで超多忙なんだけど、やっと時間が空くっていう前日、妙子に電話したんだ。


なんだかんだ、あの日から一ヵ月近く経過していた。


電話に出た妙子は、こっちが驚くくらい、キャーって悲鳴を上げた。


「えーっ、ホントに久保さん?嘘でしょう?私、もう…」


ギャーギャー騒いだ挙げ句、あの子、電話口で涙声。


思わずニヤけた。


「連絡なんかくれないと思ってた…」


いじらしかったよ。


電話して良かったなって、素直に嬉しかった。


「だから言っただろ、待ってて欲しいって」


「うん…、うん…、待ってたよ…」


「ちょっとだけ時間空いたんだ。明日の夜会おう。たった一晩しか一緒にいられないけど」


こんな急な誘いでも、この子は来ると確信があった。


「品川駅に九時で」


そう約束して、電話を切った。


でも。


多分、この一ヶ月の焦らしがいけなかったんだと思う。


大いに期待させちゃったんだな。


再会した妙子には、俺が望むような気の強い女の片鱗…、これっぽっちもなくなってた。



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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