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* 第八話 * ~和人の場合~ ⑤終

「…て」


「だて」


「だーてー!」


和人はハッと顔を上げた。


授業中にも関わらず、机に突っ伏して寝てしまっていたようだ。


ガバリと身体を起こした先には、怖い顔をした女性教師がじっと和人を見下ろしていた。


「お前、寝言で必死で謝ってたぞ」


女性教師はそう言ってニタリと笑った。


和人の背中を汗が伝った気がした。


 ― なんだ、俺、今、なんの夢見てた…?


必死で記憶を手繰り寄せる。


「よっぽど罪作りな事したんだろう」


女性教師の言葉に教室中がドッと笑った。


「あ…」


鵜飼麻弥子の夢だ。


思い出して、和人は愕然とした。


 ― あの日の夢、見てたんだ。


あまり思い出したくない夢だった。




「上級生に命令されて告白したって本当?」




あの問いに対して、和人は答えられなかった。


女性教師は寝言で謝っていたと言ったが、実際は謝れなかった。


誤魔化すことも、その通りだと認めることも出来ずに、あの日、和人は動揺を隠す為に、怒りを露わにした。


ガタンと椅子を倒すほどの勢いで立ち上がり、麻弥子をひとり残し、先に店を出たのだった。


最低な対応をしたと思っている。


あれほどの後悔をしたことはなかった。


その後、連絡を取ることも出来ずに、麻弥子からの電話もないままに、夏休みは過ぎていったのだ。


そのまま、二人は終わってしまった。


どうして、素直に謝ることが出来なかったのだろう。


どうして、最初は上級生の命令だったが、今は麻弥子のことがちゃんと好きだと伝えられなかったのだろう。


どうして、どうして…。


何度、自分を問い詰めても、あの時の意地っぱりな自分を正当化することが出来ないでいる。


麻弥子は自分以上に傷ついたはずだ。


一年以上経過した現在も胸が痛む。


二学期が始まる日、和人は願を掛けながら、あのミサンガを足首に結んだ。


新学期、一ヶ月強ぶりに見かけた麻弥子の左手首を何度も盗み見たが、もうお揃いのミサンガはなく、落胆したことを覚えている。


麻弥子は明らかに和人を無視していたし、同様に、和人からも麻弥子に話しかけることは二度となかった。





授業終了の鐘のあと、次の授業の教室に移動するため、苦々しい表情で和人は立ち上がった。


 ― こんなこと思い出すなんて…、ただでさえ面倒な誕生日だっつーのに。


苛々と廊下を歩きながら、脇の流しにペッと唾を吐く。


ズッタズッタと引きずった足音をさせながら大股で歩いていく。


「あの…」


「あ?」


背中を軽くとんとんと呼び止められて、怖い顔で和人は振り向く。


和人は目を見開いた。


眼前に、切れたミサンガがぶら下がっていた。


「これ、今、落としてったよ」


人差し指と親指で、和人の鼻の前にブラリと高く掲げられたそれは紛れもなく、麻弥子が作ったあのミサンガだった。


「鵜…」





果たして、和人の願は叶うだろうか。



 -終-


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Comment

泉月光詩 | URL | 2008.10.27 14:24
■あっ!!Σ( ̄口 ̄)

終わった(・_・;)
いや~~気になる~~。
めちゃくちゃ 気になります~。

年齢関係なく 男性って「マズい!」と思った時、なぜか 無口になり 怒りを見せるんですよね~ 女は 居直るか ヒステリック、泣くのどれかですが…

最初のプレゼントを爆弾と呼んだとこ 思わず笑ってしまいました(笑)
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:25
■>泉月さん

いや~、あんなもん爆弾でしょう(≧▼≦)

お年頃の男子って、全てを苛立ちで表現することがある気がしませんか。

このあと、素直になれたかどうかはご想像にお任せします(^-^)

ばん | URL | 2008.10.27 14:26
オモロイです。

ばんも頑張らんといかんな~って思いました♪
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:27
>ばんさん

ホントですか~?
ここは素直に、ありがとうございます。
神崎 憂 | URL | 2008.10.27 14:28
とても面白かったです。

個人的には、和人の場合が一番かな……。
男性が、主人公からだと思いますが^^;
それに何だか、とても共感出来ました。
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:29
>神崎さん

そうですか~、よかった~。
一応、自分オンナなんで(笑)男性視点はどうかなあって迷いつつだったので、尚更でございます。

如月  凛 | URL | 2008.10.27 14:30
↑の皆さまからずいぶんと日がずれてしまい・・・(;^_^A
和人が初々しくて・・・面白かったで~す!
男の子、それも高校生。
よくこんなにリアルに描けるな~と感心しちゃいます。
私、高1息子がいますけど・・・わかりませんもの(;´▽`A``
時間があるときにまた順々に読ませてくださいませ~ヾ( ´ー`)では~♪
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:31
■ありがとうございます

>如月  凛さん
高校生の息子さんが!?
いやぁ、リアルに感じていただければ嬉しいですが、実際どうですかね(o>ω<o)
男の子の話を書くの結構好きなんです。

小町 | URL | 2009.01.28 22:38 | Edit
うわー、男の子ってこんな風に考えてたのかー。
素直に納得しちゃうな。
なんて高校時代を振り返る、あの頃の男の子の気持ちって、未だに読めない。
思春期の男の子って、やっぱ独特なんだな。
この時期終わった男性の方が、断然わかりやすいもの。


香月 瞬 | URL | 2009.01.29 09:57
わかりやすいと豪語しちゃう小町さん。
なかなかのやり手とお見受けします。

こんな感じかなーって想像ですからね、実際の男の子はどうなのか私にも謎です。
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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
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