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* 第八話 * ~和人の場合~ ④

和人と麻弥子は、ようやくデートらしいデートをした。


夏休みに入るその日。


一学期終業式の翌日が、和人の帰省日だった。


寮から家への帰宅がてら。


初めて、お互いが私服で、二人きりで駅のホームに立つ新鮮さ。


すぐ隣りにいるミニワンピースの麻弥子はとても可愛らしかった。


もう周りに知っている人間も見当たらなくなった頃、電車を降りるどさくさに手を繋ごうかなと、和人は思った。


「あのね」


いろいろ妄想していたところに麻弥子に突然話しかけられて、和人は少し戸惑う。


「…ん?何?」


「前に、Jリーグの試合観にいこうって話してたでしょ」


麻弥子は大きな鞄を覗き込んで、何やら探っている。


「伊達くん、バスケ部だけど、サッカーも好きなのかなって思って、これ…、作ったんだ」


麻弥子は取り出したハンカチを広げた。


そこには、ミサンガがあった。


「これ、俺に?」


「うん、流行ってるし、作ってみた」


照れくさそうにニコッと笑った麻弥子がとても愛おしかった。


「おそろだよ」


そう言って、麻弥子は自分の左手を見せた。


ピンクのスウォッチとヘアゴムと共に、色違いのミサンガがあった。


 ― か、可愛い…。


「ありがとう」


和人は、ミサンガを受け取った。


ハンカチに包まれていたせいだろうか、とても良い香りがする気がした。


股間が少し熱くなった頃、和人の地元の駅に着いた。


和人は下半身に気付かれないようにカモフラージュしながら、麻弥子の右手を引いて、電車を降りた。


「これってさ、自然に切れたら願い事が叶うとかだっけ?」


初めて手を繋いだ恥ずかしさに麻弥子は上手く声を出せないようだった。


和人もドキドキを誤魔化したくて、いつもより饒舌になる。


「家に帰ったら、早速着けるよ」


手だけが独立してるように、脈がドックンドックン言っているのが伝わる。


緊張で少し汗ばんだ手の平。


いつもより暑いのは、7月の気候のせいだけではなさそうだ。


繋いだはいいが、今度はいつ、どうやってこの手を離したらいいのか分からなくなっていた。


何もかもが初めて過ぎて、どの行動もなんだか不自然になる。


「飯…、食おうか」


大して、腹も減ってない。


料理を頼んだところで食べきれるかどうかも微妙なこの緊張感。


でも、どうにもならなくて、二人は駅前にあるファーストフード店に入った。


結局、麻弥子はポテトとドリンクしか頼まなかった。


一方、和人は無駄にハンバーガーを3個も頼んでしまった。


会計の時にようやく、和人は手を離す。


思わず、大きな深呼吸をしてしまった。


「ふーっ…」


少し、麻弥子がピクリとした。


 ― あー、緊張する。ってか、俺、こんなに食えねえ。


テーブルについて、目の前に広がるハンバーガーの山。


 ― 鵜飼さんも、突っ込んでくれればいいのに…。


もはや笑えない状況になっていた。


紙包みを開く手さえもぎこちない。


何度もソースを落としたり、コーラでむせたり、口にケチャップが付き過ぎたりしながら、必死で食べ終えた。


話もあまり盛り上がらなかった気がして、和人は焦っていた。


 ― すっげえ、カッコ悪りぃ。


「ねえ、伊達くん…、私ね、ずっと聞きたいことがあったの」


麻弥子が和人の目をまっすぐに見つめた。


あまりにまっすぐ過ぎて、和人の目は少し泳いで、すぐ視線を避けてしまった。


また大きく息をついてしまう。


 ― やべえ、可愛すぎる。目、見らんねぇ。


動揺する和人に、麻弥子は冷静な一言を放ってきた。


「上級生の命令で私に告白してきたって本当?」




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Comment

泉月光詩 | URL | 2008.10.27 14:22
■ここにきて……

きゃあ~~┛)"O"(┗

そうこの手の話は、どこからともなく漏れてしまう。
更新される度に、この展開が来ませんよ~にと密かに 願っていましたが、やはり (´・ω・`)来た。

私 元彼と別れた理由の一個に この手の似た話がありました(T∀T;)

あ~ 和人さんや あなたはなんて答えるの…?

話が終わってから、コメントするつもりだったのですが(~o~)我慢できませんでした(/o\)すいません
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:23
>泉月さん

あは^ロ^;
リアルにありそうな話をモットーに書いてますから~(笑)。
泉月さんの元カレはどう答えたんだろう。
そちらが気になりますっ。

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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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