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* 第六話 * ~マリアの場合~ ?

こんなに不思議な気持ちがあるとは思っていなかった。


まだ見ぬ宮尾久美よりも、遥かに早苗が憎らしい。


何故、焚きつけるようなことを言ったのか。


早苗だって、今は結婚しているのだ。


妻としての立場や気持ちが分からないはずがない。


 ― あの子は変わってないんだわ。


マリアは隆徳の前でぐったりとうなだれた。


「マリア?」


 ― 浮気なんてバレなきゃいいじゃん。


 ― 浮気される方に問題あるんじゃないの?


 ― 信じてる、信じてるって、裏で何されてるか分かったもんじゃないよね。


早苗の声でどんどん自分が罵倒されていく。


付き合ってからの、結婚してからの、出産してからの、マリアの人生がガラガラと音を立てて崩れていく気がした。


信念がついに揺らいでしまった。


「ごめんな」


隆徳がマリアの両肩を抱いた。


「こんなに傷付けると思わなくて。自分のことしか考えてなくて」


隆徳の身体が震えているのが分かった。


 ― 泣いてるの?


マリアはそれを信じられない思いで見つめていた。


人前で涙を見せる人ではない。


そんなに追い詰められていたのか。


それとも、彼女と別れたのが惜しくて涙しているのか。


マリアはその光景を素直に見られなかった。


「相手の…、その…、宮尾さんて人に、住所聞いてきて」


「え?」


隆徳は驚いて顔を上げた。


「それとも、私と実際に顔合わせて欲しいの?」


「いや…、でも住所聞いて何するの?」


マリアは一生懸命考えた。


正妻の有利な立場を失ってはいけない。


この際、隆徳と宮尾久美に対して、慰謝料を請求しようと思った。


証拠のムービーなら、マリアの携帯電話に記録してあるのだ。


しかし…。


見苦しくない方法で、相手にも隆徳にも釘を刺す方法。


彼女を脅迫することなく、嫌がらせにならず、もう会わせない方法。


「初めてだから…、嫌だけど、許せないけど許せるように私も努力してあげる。勝手に携帯電話見たことのお詫び」


マリアはプライドの高さに自分で驚いていた。


たぶん、このまま早苗に知られることへの悔しさから、気持ちを譲ったのだ。


頭の中は、たくさんの嫌がらせの方法で渦巻いていたが、冷静になろうと努めた。


無言電話や相手の親や会社への告発や、面罵、告訴…。


汚い方法はたくさん浮かんだ。


「宮尾さんとあなたに誓約書を書いてもらう」


「誓約書?」


隆徳は何のことだか分からないといった顔をした。




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Comment

ロビン | URL | 2008.10.25 17:01
■こういうとき

ギリギリでも品格を保てるかどうかが女の格の見せ所ですよねо(ж>▽<)y ☆
マリアさん、プライド見せ付けちゃってください!

香月 瞬 | URL | 2008.10.25 17:02
■>ロビンさん

そうなのですー、品格!

そんな応援されちゃって、続き、どうしよう(笑)。

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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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