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* 第六話 * ~マリアの場合~ ?

真夜中でもあるし、とりあえず冷静になろうとしたマリアだったが、どうしても寝付けなかった。

隆徳を信じられなくなったのは、初めてだった。

当の隆徳は、眠気を盾にこのピンチから夢の中だ。

朝の早い彼は、そのままこの話から逃げるように出勤するだろう。

マリアは薄暗がりの中で、子ども達と隆徳の寝顔を見つめていた。

下の子が、少しムズムズと動き始める。

そろそろ泣き出して、マリアにミルクの催促をすることだろう。

マリアは起き上がって、ミルクを作りに向かった。






いつのまにか寝付いたらしく、早朝マリアが目覚めると、隆徳は既にいなかった。

身も心も、脱け殻のようだった。

辛うじて残っている気力で長男の幼稚園のお弁当を作った。

洗濯機をぐるぐる回した。

掃除は、通常はしない雑巾掛けまでした。

何かしら動いていないと、心の電池が切れてしまう気がした。

子が昼寝して暇になると、マリアは携帯を開いて、昨夜保存したあの映像を見た。

これまでは疑わしくても証拠がなかった。

隆徳も必ず否定した。

しかし、今回は動かぬ証拠ばかりか、隆徳が「ごめんなさい」と認めているのだ。

単なる浮気じゃ済まない。

マリアは初めての感情に翻弄されっぱなしだった。

衝撃が強すぎて、なにがなんでも相手とは別れてもらって、自分とやり直してほしいという気持ちになれないのだ。

いや、相手と別れるのは当然なのだが、隆徳を愛しているからとハッキリ思えないマリアがいる。

それほど、「裏切られた感」が強かった。

今まで、あまりにも信じていて、逆に隆徳も今までは悔しいくらい巧く立ち回っていて、それが今回の失態は何なのか。

それが納得いかないのだ。

本気ということなのだろうか。

バレても構わないくらい、真面目なお付き合いをしているとでも言うのだろうか。

マリアの目から、やっと涙が出た。

一粒こぼれたら、あとはどっと溢れてきた。

忙しくて、毎日疲れている隆徳を気遣って、マリアは一人で頑張って子育てをしてきた。

頼り切ってはいけないと、負担になってはいけないと、子育てに関して手も口も出さない隆徳の為に、一生懸命一人でやってきたのに。

勿論、不満はあった。

本当は隆徳にも「お父さん業」をしてほしかった。

いっぱい我慢してきたのに。

ここ最近、頻繁にあった休日出勤も、残業も、嘘だったのかもしれない。

隆徳は、宮尾久美という女性と二人で楽しい時間を過ごしていたのかもしれない。

マリアと子ども二人は、一体どんな存在だと相手に伝えていたのだろうか…。

嗚咽した。

もう止まらなかった。

隣で、子も一緒に泣き出した。

しかし、マリアは何も出来ずに、ただ泣くだけだった。




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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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