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* 第六話 * ~マリアの場合~ ?

マリアは高校時分、親友だった早苗から、幼なじみの隆徳を紹介してもらい、付き合いだしたという経緯がある。

その後、お互い現役で四年制大学に進み、就職をし、生活の見通しが経った頃、籍を入れた。

堅実に、確実に、二人は将来を共にする誓いを立てた。

マリアは付き合い出してから今まで、隆徳を心底愛し、信じてきた。

もちろん喧嘩もしたが、隆徳に対する愛情は年々深まるばかりで、こんなに幸せな人生を送っていいのだろうかと逆に不安になることすらあった。

マリアは、早苗の手前、幸せにならなければいけないとも思っていた。

まだまだ未熟な少年少女だった頃の話とはいえ、気持ちの上で、始まりは早苗から隆徳を奪った形だったから。

そう、マリアは勝者だ。

勝者は、今後も勝ち続けなければならない。







あれは、もう10年以上前になるだろうか。

ちょうど大学に入ったばかりの頃。

マリアと隆徳と早苗は、繊細な関係を保ち続けていた。

早苗はすぐに撤回したものの、一度はマリアに隆徳と付き合わないでくれと、自分から取らないでくれと懇願してきたことがある。

マリアは、そのことを忘れていない。

そして、隆徳とマリアが付き合いだして、そんなに経たずに、早苗は自分の恋人と別れている。

二人にいざこざがあったことを知らない隆徳は、それまで通り早苗と接し、おそらくマリアとの交際報告や、恋愛相談を逐一していたと思われる。

マリアは、何があっても隆徳を信じるという強い想いがあったから、例えば他の女の子と何かがありそうであっても決して疑わなかった。

しかし、事実、マリアが知っているかはさておき、この頃の隆徳はいろんな意味で大学生活をエンジョイしていた。

元々、女の子が放っておかないタイプの隆徳に誘惑の声がかからないわけもなかった。

マリア自身、異性がよりどりみどりに寄ってくる女性であったから、隆徳の交友関係にもそれなりの予測はあったし、多少なり寛容な部分も持ち合わせていた。

隆徳がマリアのことを一番に想ってくれている以上は、嘘でも信じる。

それがマリアの愛し方、信念だった。

だが、そんなマリアを早苗は良しとしなかった。

おそらく、隆徳の悪業三昧を直接本人から聞いていたからだろう。

誰とコンパしただの、街行く誰とデートしただの、サークルの誰と寝ただの、そんな隆徳の戯れ言を早苗は全て知っていた。

だから、「私は隆徳くんを信じてるの」「隆徳くんはそんなことしないわ」と真顔で言い放つマリアが哀れで、滑稽で、憎らしかったのだろう。

どんなに早苗が親切心で忠告したところで、過去のあのやりとりがある限り、負け犬の遠吠えにしか聞こえないのだから。

早苗は、馬鹿みたいに信頼しきっているマリアを見ると、ストレスだったようだ。

真実は違うのだ。

隆徳は何度も何度も浮気をしているのだ。

どうして、そんなことも分からないのか。

早苗は、マリアに気付かせたくて、いつも苛々としていた。

だから、毎晩のように隆徳から恋の武勇伝や、マリアが信じ切っている話を聞いては、共にマリアを嘲笑った。

でもマリアは、それに全部気付いていたのだ。

早苗と隆徳がついに幼なじみの一線を越えた夜のことも、マリアは知っていた。

もちろん隆徳がそれを明かす事はなかったけれど。

早苗は何度となく、挑戦的にマリアに言った。

「信じてる、信じてるっていうけどさ、八木はマリアのこと裏切ってるかもしれないじゃん」

言外に、私たちはあんたを騙してセックスしたのよと匂わせる。

早苗は憐れなくらいに必死にアピールしてきた。

ただし、隆徳に知られたらまずいのだろう、明言することは絶対にしなかった。

だから何なのか。

隆徳は否定している。

誰と何をしようが、最終的にマリアのもとに帰ってきている。

彼が否定している限り、それはマリアの世界に於いて真実ではない。

隆徳はマリアを一番に愛しているから、隠すのだ。

バレなければ、知らなければ、それは空想だ。

相手が早苗であろうと、過ちでしかない。

マリアは隆徳を一点の曇りもなく信じたし、早苗は酷い事を平気で言う嘘つきだ。

「そんな話をして私を悩ませるのが嬉しいの?」

隆徳はこれまで通り、早苗と幼なじみとして接していたが、一方マリアは早苗とは絶交した。

くだらない妄想癖のある女だと切って捨てた。

だって、信じているんだから。


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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