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* 第五話 * ~潤奈の場合~ ⑨終

潤奈は大きく深呼吸すると、席に戻った。


待っていた妙子は新しい飲み物を頼んでおいてくれた。


「おつ」


妙子が潤奈のグラスに自分のグラスを合わせた。


潤奈は鼻の下を掻きながら、照れ臭そうに笑った。


「よしっ、今夜は奢っちゃうよー、飲んでください、妙子様!」


「つーかさ、宇多田ヒカルって子の曲、聴いた?」


「あー、Automaticだっけ。いいよね、あれ」


いつも妙子には救われる。


多少、出し抜こうとした自分を猛烈に恥じた。







ホロ酔いで家に帰った潤奈は、【HARU】のアドレスと受信メールをポケットボードから削除した。


携帯からも消して、登録以外の番号や非通知設定の番号、公衆電話をも着信拒否に設定した。


こんなことで事実はリセットされないけれど。


たった一回会っただけの人など、いずれ忘れる。


ついでにポケットボードの通信をすると、一件のメールが受信された。


もしかしてとは感じたが、案の定【HARU】からだった。


件名には「最後のメール」とあった。


潤奈は気持ちを落ち着かせてから、メールを開いた。





・・・俺は、君のことを考えると、まだ胸がドキドキします。


肌を合わせてくれたあの瞬間、瞬間を、俺は忘れません。 


君が俺にしてくれたこと全てが とても嬉しかったです。


今、君を思うと、脳内にアドレナリンが溢れてきます。


たくさんたくさんアイディアが溢れてきます。


この思いを励みにこれから朝まで仕事頑張ります。


実は、これまで俺を拒んだのは、君と妻、二人だけです。


だから、余計に手に入れたくて仕方がないのかも知れません。


だけど君は、もう俺とは会いたくないようだから、これで最後にします。


俺の大好きな“真夜中のカウボーイ”、一緒に観たくて、せっかくダビングしたのに残念です。


いつか、思い出したら、観てみて下さい。


君を好きな気持ちは本物だから、証として、ハンドルネームではなく、本名で送ります。


信じてください。


俺は奇跡を待っています。


・・・山田晴樹。







「コラコラ、妻って…」


新事実もどうでもいいくらい、情けなさでいっぱいだった。


潤奈は読み終えたメールを即ゴミ箱へ移した。


脱力感。


「あほくさ」


ギュっと強く両目をつぶった。


二度と出会い系には手を出すまい。


妙子にショートメールを打った。


 ・・・イシャゴウコンハ オナガレデ!  ジュンナ





今夜は、眠れそうにない。


 ‐終‐

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Comment

神崎 憂 | URL | 2008.10.25 16:44
■面白かったです。

やっぱ出会い系は怖いなーってつくづく思います。
でも、実際にある話のようで個人的には好きなお話でした。
香月 瞬 | URL | 2008.10.25 16:45
>神崎さま

うわぁ、ありがとうございます。
オチが浮かばなくて、やっつけで終わらせてしまったので(^^ゞとても嬉しいです。

小町 | URL | 2009.01.28 19:32 | Edit
怖いな出会い系、こうゆう話はノンフィクションとして、
反面教師的に若者はこれをリアルに捉えたら良いと思います!
物語ではなく、危険なんだと。
だって山田晴樹的な気持ち悪い男いるも~ん!
こうゆうナルシストっていや~!
香月 瞬 | URL | 2009.01.28 21:11
最近の出会い系事情はわかりませんが、結構リアルにありそうな感じを書いたつもりです。
本当に危ないって感じてもらえると有り難いです。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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