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* 第五話 * ~潤奈の場合~ ⑦

ポケットボード 

ポケットボードをチェックすると【HARU】からのメールがあった。

恐る恐る開くと、今日がどれだけ素晴らしかったかといったことが延々と書かれていた。

・・・イブの日に会いたい。

・・・次は、車で迎えに行く。

・・・逗子のリゾートマンションに連れていってあげる。

・・・一日中、裸で過ごして、一緒に“真夜中のカウボーイ”を観よう。

潤奈はそれに返信せずにボードの蓋を閉じた。

「変態」

今時にリゾートマンションって、どんだけリッチなんだか…と興味がない訳でもなかったが。

確かに【HARU】のものは自慢したいのも分かるが、男って…と呆れるしかない。

極端な大きさや時間なんて、苦痛でしかないのに。



 *




翌朝、会社に向かって歩いていると、後ろから両肩を叩かれた。

「おーはよっ」

妙子だった。

妙子は潤奈の耳元で囁いた。

「昨日、エッチしたでしょ」

「なんでっ!?」

「がーにーまーたっ」

そう言って妙子は笑った。

顔から火が出るかと思った。

「さては抜け駆けしたわね?」

「ん~、まあ、そんなとこ」

潤奈はなるべく膝を擦り合わせるように歩いた。

「潤奈はさあ、寝るの早すぎるんだよ。もうちょっと考えないと痛い目見るよ」

妙子にはお見通しのようだった。

「帰りに話聞かせてよ。ちょっとだけ終わるの遅いから地下の喫茶で待ってて」

妙子はそう言うと通用口に入っていった。


今日の勤務は奇妙なことが多かった。

「富澤さんお願いしますって外線あったわよ。他の子もとったらしいから何回かあったみたい」

先輩が潤奈に伝えた。

「男の人だったし、名乗らないから、今日はいないって言ったけど。用件も言わないし」

「ありがとうございます。なんなんでしょうねー」

潤奈はいぶかしんだ。

【HARU】の顔が浮かんだが、彼に勤務先は教えた覚えはなかったし、本名だって教えていない。

名指しのクレーム電話はないわけではない。

そんなところだろうと気持ちを切り替え、地下の喫茶室へ向かった。

妙子はもう待っていた。

「そっちのが遅かったねー」

「ごめん、なんか変な電話があったって伝達されてて…」

二人は揃って、通用口を出て行った。

外に出た潤奈は目を疑った。

通用口から50mほど離れたファーストフード店の前に【HARU】が立っていたからだ。

潤奈は妙子の腕を引っ張って、慌ててきびすを返した。

「ちょ、どうしたの?」

「昨日の男がいる」

「ええっ?」

【HARU】のいる反対の方向に二人は早足で進んでいった。

脇目もふらず、どんどん歩いた。

 ― 大丈夫、気付かれなかった。

「どういうこと?彼氏気取りってこと?」

「…わからない。付き合った覚えはない。ここを教えてもいない」

外は寒いのに、潤奈の身体はカーッと熱く、体内からどんどん汗が出ている気がした。


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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