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* 第五話 * ~潤奈の場合~ ④

新宿の街並はクリスマスの装飾でいっぱいだった。

潤奈は緊張の面持ちで、お昼のアルタ前を素通りした。

冷静に考えると、軽率だったなと思う。

メールでのやりとりでは丁寧で誠実だと感じたが、しょせんは出会い系サイトからの始まり。

いわゆるテレクラがメールになったようなものだろう。

出会いの先には男女の関係が待っているかもしれない。

妙にイケメンなことを期待してしまっているのも否定できない。

実は、それなりにムダ毛の処理なんかもしてきてしまったことに、潤奈自身多少の嫌悪感を抱いていた。

身体が少し汗ばんでいる。

今日は意外と気温が高かったのか、気持ちのせいか。

タカノの前に着き、携帯電話を取り出そうとした時、ひとりの男性が目に入った。

背がスラリと高めで、顔が小さい。

あまりファッションセンスはいただけなかったが、勘で、あれが【HARU】なのではないかと感じた。

向こうも視線に気付いて、目を合わせた。

電話をかけようと親指でボタンを押し掛けた時、その彼が潤奈の前に立った。

「【HARU】…さん?」

と潤奈が見上げると、ニセ真田広之が笑った。

「やっぱりや。そんな気ィしたわ~」

「は、はじめまして」

想定外の関西弁に面食らう潤奈だった。

「とりあえず、中でお茶しよか」

二人はタカノの中へ入った。

【HARU】は、自分で書いていた通りの外見をしていた。

服はともかく、中身はかなり二枚目の部類だった。

出会い系一発目で、大物が釣れたなと潤奈は思った。

聞くところによれば、出身は大阪の端っこで、今は東京で個人事務所を立ち上げたばかりだという。

どんな仕事かは明かしてもらえなかったが、まだ会社勤めだった頃にミュージカル等に携わったことがあるらしい。

芸能関係なのかと、妙子に頼らなくても簡単に華やかな世界とは通じるもんだなと得意になった。

潤奈は紅茶を飲みながら、フルーツパフェをパクつく【HARU】を観察した。

 ―― 7つ上?ちょっとオデコが来てるのはしょうがないのかな。顔がいいんだから、贅沢を言っちゃいけないか。

「この後、どこか行きます?」

「俺な、新宿のジョイポリスまだ行ったことないねん」

潤奈はゲームセンター的な場所は好きではなかったが、任せることにした。

「せっかくやから、デートらしいことしようや」

【HARU】は潤奈の手を握った。





新宿ジョイポリスに入ると、【HARU】は子どものようにはしゃいで、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしていた。

「彼女もおらんと、なかなかこんなとこ来られへんもんなー」

普段だったら、こういうところに来ても、潤奈は傍で見ているだけだったが、今回は思い切っていろいろなゲームに挑戦してみた。

二人で一緒にトロッコを漕いだり、ワニワニパニックに興じたり、それはそれで楽しかった。

「なんや、このアイスー!?」

どうやら甘いものに目がないらしい【HARU】は、ディッピンドッツというアイスに大喜びしていた。

カラフルで冷たいつぶつぶがたくさん入ったカップを持って大の男がニコニコしている姿を見るのも悪くはなかった。

 ―― いい人かもしれないな。

潤奈は漠然とそう感じていた。

「俺な、インターネットで人と会うなんてどないやねんて思ってたんやけど、今日から考え改めるわー」

「え、会うの初めてなの?」

【HARU】はきょとんとした顔を見せた。

「なんで?」

「いやー、慣れてるのかなって…、ちょっと思ってたから」

「あほー、こんなんしょっちゅうやらへんわ。気持ちがもたんよ」

ディッピンドッツを食べ終えた【HARU】は、真面目な顔をしてこう言った。

「君やったから、会いたいって思ってんで」

潤奈はドキリとした。

【HARU】は突然、両手を上に伸ばし、大きな声を出した。

「あーあ、楽しかった。これから何しよか」

目が何かを物語っていた。

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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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