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* 第四話 * ~早苗の場合~ ⑥終

一時間目の休み時間の間にマリアに手紙を渡した早苗は、それ以降、顔を合わさなかった。

マリアも何か思うところがあったのか、姿を現さなかった。

流石に周りの友人や早苗の彼もそんな二人の軽い異変を察知したようで、逆に早苗は一日ひとりにならずに済んで楽だった。

放課後にマリアがやってきた。

「早苗、…話ある」

「え?すぐ帰らなくていいの?今日会うんでしょ、八木と…」

「大丈夫だよ、部活後の約束だから、時間はあるの」

なんとなく早苗より八木のことを分かっている風なマリアがそこにいた。

少し、思い知らされたような気がした。

今日、八木に告白されることを理解しているんだなと改めて思った。

マリアに連れて行かれた校舎裏の中庭には、マリアの元カレがいた。

「手紙読んでいろいろ考えて、早苗とも二人で話してもらおうって思ったの」

そういうとマリアはひとり、離れた。

バツが悪そうな元カレに、早苗は振り向いて笑おうとしたが、瞬間顔が崩れた。

早苗自身、思いもよらず。

自分の瞳からあとからあとから流れ出てくる涙に驚くしかなかった。

「高田…、なんで、なんでお前が泣くんだよ…」

元カレは困惑し、遠慮がちに早苗の肩に片手を置いた。

「…ごめ…」

言葉にならなかった。

 ―― あなたとマリアが別れたのは、私のせいかもしれないんだ。

「大丈夫だよ。俺は。これからも普通でいようぜ」

うんうんと早苗は頷いた。

「確かに突然、別れ話されてビックリしたけどね。もう落ち着いたよ、俺は。だから、な?」

気を遣わせている…。

一生懸命、涙をぬぐった。

うまくは笑えなかったけど、マリアがいなくても友達だよね、そう感じた。

ポンっと大きく背中を叩かれて、早苗はマリアのもとに送り出された。



「あはは、なんで泣いてたんだろうね、私」

「早苗が別れたんじゃないのにー」

マリアは笑って、早苗と歩を合わせた。

校門を抜けて、二人は駅に向かって歩いた。

朝と違って、身体と心がちぐはぐな感じはなかった。

お互いが前を向いて、歩いているせいもあるのだろうか。

それとも、さっき流した涙に少なからず浄化作用があったのか。

「あ、じゃあ夜、多分、電話するから」

駅のホームで、マリアは思い出したようにそう言った。

早苗側の電車が先に到着し、電車内に身体が入った途端にドッと疲れが押し寄せた。

 ―― やっぱり無理してるんだな、私。

 


そして、その夜、八木とマリア二人が一緒にいる状況で、早苗に電話が来た。

「付き合うことになったからさー、よろしくねー」

八木の浮かれた声が耳に響いた。

早苗は、八木の隣で口数少なく従順そうに俯いているであろうマリアの姿を想像しながら、答えた。

「大事にしなさいよね。そうじゃなきゃ許さないから」


一生、許さないから…。


 -終-

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Comment

小町 | URL | 2009.01.28 18:35 | Edit
いや~、参った!
鮮明に蘇る今は昔学生の頃、あるよね~。
この微妙な青春というか、友達以上みたいな。
もうこうゆう気持ちになったりする事はないけど、何だか読んでて
切なくなりましたよ。
はは、感情移入しすぎだね。
香月 瞬 | URL | 2009.01.28 21:07
通ってきた道ですよねぇ。
感情移入、大歓迎です。

それもそうですが、あまりの一気読み具合に、感動して涙が出そうです(ノд<。)゜。
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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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