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* 第四話 * ~早苗の場合~ ⑤

翌朝、早苗の教室。


「おはよー」


あの言い合いはなかったかのように、マリアが現れた。


「ごめんね、あのー、ゆうべ変なこと言っちゃって」


早苗は、勇気を出して詫びた。


「ううん、なんとなく気持ちはわからなくもないっていうか…。複雑だよねー、確かに。でさ、古文の予習してあったらノート貸してくれないかな」


いつもと変わらない様子に安堵しつつ、ノートを鞄から出してマリアに手渡そうとした時、早苗は自分の異変に気付いた。


 ―― あれ…?


目を合わせられないのだ。


手はマリアの方向にあるのに、顔を向けられない。


「うち、3時間目が古文だから、それまでには返してよねー」


言いつつ、目線が定まらない。


ドキドキしてきた。


心なしかいつもより早口な自分がいる。


笑顔がうまく作れない。


何より、マリアの顔を見ることが出来ない。


普段なら、始業ギリギリまで、なんだかんだ喋っているはずなのに、早く教室から出て行って欲しいと思っている。


「ごめん、ちょっとトイレ行きたいから…」


早苗は慌ててそう言うと、やっとの思いで視線をマリアに合わせた。


心と身体が別の動きをしていると感じた。


ため息が出た。


 ―― 今日、八木はマリアに告白するんだ…。


それが現実だった。


受け入れる努力をしなければならない。






授業中、早苗はマリアに手紙を書いていた。


マリアの彼…、もう元カレか…。


元カレとマリアという二人の存在は、早苗にとってセットで大事だった。


何も知らされずに、いつのまにか別れていたことに残念な気持ちでいっぱいだと。


まだ早苗に彼氏が出来る前は、よく三人でいた。


他の男子に二人きりにさせてやれよと忠告されたものだ。


それでも、元カレも嫌な顔ひとつせずに、一緒に相談に乗ってくれたりして、とても楽しかった。


だから、ちゃんと話したいと思う。


マリアと別れたから、友達付き合いはおしまいですっていうのも可笑しな話。


これからどういうスタンスでいたらいいのか、マリアは早苗にどうしてほしいのかを聞きたかった。


そんな手紙。


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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