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* 第四話 * ~早苗の場合~ ③

数日後、早苗のもとに八木から電話があった。

「なあ、マリアちゃんて彼氏いるんだっけ?」

「何よ、狙っちゃおうって話~?」

電話口の向こうで舞い上がっている八木の様子が手に取るように分かった。

「いるにはいるんだけど、あんまりうまくいってないんだよね」

「へえ、じゃちょっと微妙かなぁ」

「電話番号、教えてあげようか?直接話してみればいいじゃない」

早苗は調子に乗った。

八木も早苗の押せ押せな感じにまんざらでもないようだった。

「本気でいくなら、全面的に協力するわよ。私が会わせたんだし」

「おう、じゃ今から掛けてみるわ」

電話を切った早苗は高揚していた。

早苗の大事な友達の八木が、やはり大切な友達であるマリアにひかれている。

自分を介して、人と人が繋がりゆくことに悦びを感じていた。




翌朝。

バタバタとマリアが早苗のいる教室にやってきた。

「早苗っ!」

来たな、と思った。

「昨日、隆徳くんから電話来たよ!」

「えへへ~、ごめんね、勝手に番号教えちゃって」

「それは構わないけど…」

マリアは楽しそうな顔を隠そうとしていた。

「で、どうだった?いいヤツでしょ、八木」

マリアは困惑気味に頷きながら答えた。

「うん…。早苗ちゃんが前から理想の男だって話してただけあって、面白いし、格好良かったし…」

「うんうん、それで?」

「早苗ちゃんはいいの?」

早苗のまわりの空気が止まった。

「はっ?」

マリアはきゅっと唇を結んだ。

「早苗ちゃんは、私が隆徳くんのこと好きになっちゃってもいいの?」

早苗は一笑に付した。

「あ、当たり前じゃない!そうなったら嬉しいよ。でも…」

マリアには彼氏がいる。

そう簡単に心変わりなどするだろうか。

「大体さ、私が好きにならないでって言って、止められる気持ちなら、それ本気じゃないってことでしょ」

「そうだけど…」

「でもさ、マリアだって二股かけるわけないでしょ?そういう心配は別れてからしてよ」

 キーンコーン…

始業のベルにマリアは慌てて去った。

早苗は自分の席につきながら、考えた。

「案外あっさりくっついちゃったりして」

一瞬、ズシリと心に何かが降りた気がした。

ぬっと腕が伸び、斜め前の席から、小さなメモが回ってきた。

「あ」

早苗の彼からだった。

『近頃、橘さんと何かあったのか?』

胸を鷲掴みにされたような気がした。

早苗には心配してくれる彼がいる。

最近、八木のことばかり考えていた。

顔をあげると、彼が振り返って見ていた。

早苗はニコリと笑うと、メモ紙をチラチラと振った。

彼の笑顔が心に痛かった。

「早苗ちゃんは、私が隆徳くんのこと好きになっちゃってもいいの?」

さっきのマリアの言葉がこだました。

いいよ。

いいに決まってる。

ダメな理由など、ありはしない。



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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