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* 第三話 * ~亜弓の場合~ ⑥

 ―― 終わった…かな。


亜弓は、自宅へ帰る電車の中で、後悔していた。


冗談でも夫以外の男性とキスをしたことは、自分の中で整理がつかなかった。


あの瞬間の亜弓は、鈴木に触れたい一心だった。


愛したいと思った。


だけど一方の鈴木は、単にスリルがある関係としてお互いがフザけていただけの行動として受け止めているなら、もう亜弓と一緒にはいてくれないかもしれない。


亜弓は確実に鈴木に惹かれている。


本気になった女に、もう用はないと、鈴木は亜弓を切り捨てるだろう。


否、何故にもっと軽く考えられないのだろう。


ちょっとした浮気心でいいじゃないか。


結果を求めるなんて、間違っている。


すると、携帯のメールが鳴った。


『大丈夫?』


鈴木からだった。


『俺、ちゃんと好きだからね』


耐え切れず、亜弓の瞳から涙がこぼれた。


 ―― 鈴木くんなら、こんな私でも受け止めてくれるのかもしれない…。


亜弓は、そのメールを削除すると、夫にメールした。


『酔ってる。駅まで迎えに来れる?』


何事もなかったこととして、今日は乗り切ろう。


夫の貞淑な妻として、一切のことを悟られないように。


そして、円満に別れ、いつか鈴木のもとへ行こう。


亜弓は、そう決心した。






いつものように毎日は過ぎていた。


空の青に、木々の緑が映える、そんな気持ちの良い日々が続いていた。


「このまま、仕事サボって、海にでも行っちゃいたいね」


時々、朝、一緒に出勤した二人は、内緒でそんな会話をした。


キスしたあの日以来、それ以上は何も変わらず、ただ、二人の気持ちだけが深まっていた。


そして亜弓は、夫にもいつもどおり接していた。


明らかに自分自身に夫への愛はないという自覚がありながらも、朝から晩まで夫婦生活は滞りなく行われていた。


そんな板ばさみの日々でも、亜弓は鈴木と出会えたことに幸せを感じていた。


あんな事実が発覚するまでは…。


亜弓は、初めて、自分から鈴木を二人だけの食事に誘った。




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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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