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* 第二十話 * ~慶子の場合~ ⑪

永治の容態急変などはなさそうだ。


慶子は、今すぐにでも被害者のご家族に会いたいと警察官に申し出た。


警察官は、もう面会時間も終わっているし、明日でも構わないと思うと答えたが、人一人死んでいるのに遅すぎると抗議した。


分かりましたと重い腰をあげた警察官と共に、慶子は別の病院へ向かった。


名前は聞けなかった。


自分の予想が的中することが怖かった。


たとえ僅かでも、思い違いであることを願っていた。


道路は空いている。


出来れば、時間が止まってしまえばいいのに。


慶子は、ギュッと目を瞑った。


車が、病院の通用口に到着する。


ひっそりと静まり、蛍光灯のにぶい光と非常灯が煌々と照る廊下をカツカツと足音だけが響いた。


ひとつの病室の前に立つ。


ネームプレートは白いままだった。


「ここです」


警察官が言い、慶子の躊躇を無視し、コンコンとノックした。


「はい」というくぐもった返事が聞こえ、警察官がグイと扉を引いた。


慶子の眼前に広がった光景は、最も望まないものであった。


七年ぶりに会った詩真がベッドに横たわって、寝ている。


その脇の小さな椅子に腰掛けた輝元が、泣きはらした真っ赤な瞳で驚愕の表情を浮かべ、慶子を見ていた。


「やっぱり…」


お互いの案の定の落胆。


慶子は、立っていられず、その場に崩れ落ちた。


警察官が慌てて手を差し伸べたが、ぐったりと力が抜けた慶子を支えることは出来なかった。


「慶…」


輝元の声を掻き消すように、慶子は床に突っ伏して、全身で詫びた。


「も、申し訳、ありませ…」


語尾は、泣き声に混じってしまった。


その声に、詩真が目覚める。


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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