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* 第二十話 * ~慶子の場合~ ⑩

待合室のソファに腰掛ける。


警察官は慶子に自分の名刺を差し出し、挨拶をした。


「先ほど、ご自宅にお電話差し上げた者です」


「はい、お電話では取り乱してしまい、失礼致しました」


慶子がそう返すと、警察官は、永治の起こした事故の状況について説明を始めた。


「ええとですね、、まず事故が起こったのが、17:40頃です。○○交差点付近ですね」


慶子が、頷いた。


間違いなく、永治の通勤経路だ。


「ご主人は、運転中に携帯電話を使用されていたようですね。メール操作に夢中になって、目の前の信号が変わっていることに気付いていなかったと。前方の車が大きなトラックで信号もよく見えていなかったそうですが」


「はあ…」


慶子は、肩身を狭くした。


「で、赤信号だったにも関わらず、前の大型車が急いで突っ切ったのに釣られて勢い良くアクセルを踏んでしまったと。まあ、前の車もよろしくないんですが…」


警察官は、ひとつ咳払いをして、続けた。


「そこに、歩行者信号が青に変わった途端に横断歩道を駆け出してきた小学生の女の子がいたんですね」


慶子は、思わず息を呑む。


警察官は構わず、次に進んだ。


「そして、女の子を撥ね、慌ててブレーキを踏むも車は左方向に回転して、横転しました。その際に巻き込んだ車が二台あります」


慶子の身体全身がガタガタと震えだした。


両手で必死で自分を抱きしめるように腕を掴むが、止まらない。


「その際に、車が大破してしまい、携帯電話も壊れ、車検証も取り出せずで、山本さんの身元確認が出来なかったのです。財布や免許証も見当たらなくて…。ご本人が気が付かれるまで、連絡が出来ませんでした。その点、遅くなって申し訳ありませんでした」


 ―― 何、ベラベラ喋ってんのよ。そんなこと、どうでもいいから、早く…肝心な話を…。


慶子は、怒鳴りたかったが、声が出ない。


「その、その…、女の…子」


搾り出すように、慶子が質問をする。


「女の子は、残念ながら即死でした。両親も一緒にいたのですが、母親はその場で失神して、母子共々こことは別の病院へ搬送されています」


警察官は淡々と答えた。


「そ、それを言うのが先でしょうよ!」


やっとの思いで声を出す。


「どこ、どこの病院なんですか?急いで、謝罪に行かないと…」


慶子は、立ち上がったが、またトスンと腰から落ちてしまった。


 ―― ああ…、その子は…美園ちゃんだ。


ヒィィという息が漏れ、両手で口元を覆う。


あとから、あとから、涙が溢れた。


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Comment

cdoor | URL | 2008.10.28 11:24
おう、そこまで偶然が…。
車体の高い車が近くにいると
ホント信号がわからないんだよ。
信号の変わり際は危ないって、
親はしつこくしつこく言って聞かさなければ。
…ああぁ、何か最悪の状況だね。
これからどうする慶子!?
香月 瞬 | URL | 2008.10.28 11:25
■ホント

>cdoorさん
信号見えなくてヒヤリ、ありますよねえ。
おめえ、デカいんだよって思いながら走ってる時あります。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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