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* 第一話 * ~珠子の場合~ ③

「あ…、おはようございます…」


珠子が振り向いた先には、スーツ姿のアイツがいた。


嫌な人に会ったなと一瞬顔をしかめた。


「風、すごいっすね。…あれ?いつもバスじゃないですよねー」


アイツが珠子の表情など気にする様子もなく、馴れ馴れしく会話を続ける。


「俺、早番の日は大体このバスで来てるんすよ。えっと…、雨宮さんでしたよね?」


「はい、よくご存知ですね」


珠子は苦笑した。


「受付の人は皆キレイな人ばっかりだから、多分、俺、全員の名前言えますよー」


なるほど。


そういうキャラクターか、と珠子は合点した。


「俺、コンタクトなんで、こういう風の日ってホント嫌なんですよねー」


職場への道すがら、首尾よく会話を続けるアイツは、珠子が思っていたよりも好印象だった。


初めて並んで歩いてみると、かなり背が高く、見上げるような位置に顔がある。


ニヤついていると感じていた笑顔は、いつのまにか魅力的に映った。


「雨宮さんて歳いくつなんすか?」


「19ですけど…」


アイツが大袈裟に驚く。


「えー?タメじゃん!」


通用口に到着すると、急に親近感が増したような、以前から友達だったかのような態度でアイツは言った。


「ちょっと待って、今これに連絡先書くから。…ちょっとペン貸して」


同僚が見ているのも気にせず、アイツは窓口からペンを借りて、サラサラと書いたメモを差し出してきた。


「今夜、電話ちょうだいよ」


軽く迷惑に思ったが、受け取らないわけにもいかず、メモ用紙を手にした。


そそくさとエレベーターに向かった珠子は、アイツの強引さに少しだけドギマギしていた。


 ―― 電話、した方がいいのかな…。


ふとメモに目を落とすと、アイツの名前と電話番号があった。


「谷内、貴昭…か」



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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