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* 第二十一話 * ~佳澄の場合~ ③

絵美のいう佑ちゃんというのは、佳澄の大学時代からの男友達である。


森中佑介といい、気が合うので、当時からよく一緒に行動していた。


というよりも、佳澄が佑介の側にいたくて、気が合うようなフリをしていたというのが正しい。


佳澄が本を読むようになったのも、彼の影響だ。


佑介が好きで、佑介を知りたくて、いつも彼の後ろをついて回っていた。


社会人になった今でも、その想いは変わらず。


だけど、佑介に気持ちは届かず。


単に、気心知れた友達同士として、彼らは付き合っている。


佳澄の周囲では、佳澄が長年の間、佑介を好きだというのは周知の事実で、だから他の男の話が出てきたのは非常に珍しいことなのだった。


「佑ちゃんはね、いいの」


「なんでよ。ずっと好きなんでしょ?」


「ウン…。そうなんだけど、なんかね、もう、ちょっと…」


 ―― しんどくなってきたんだ。


本心を口にする前に、コポコポとコーヒーメーカーが音を立てる。


「あ、出来たね。私、部長に持ってくね」


佳澄はそう言って、この話題から逃げた。


トレーを持って、給湯室から出て行った佳澄の後姿を絵美は溜息交じりに見送った。


 

 

自分の席に戻った佳澄は、携帯電話を開き、メールボックスを見た。


佑介からのメールだけはフォルダ分けしてある。


大学を卒業して、もう5年。


それ以上も長きに渡って、ずっと片想いしているなんて。


その間、一度たりとも想いを伝えたことはない。


恋愛感情を知られた時に、佑介を失うかもしれない怖さに耐えられなかったからだ。


反対に佑介が佳澄に対して、それらしき言動をとったこともない。


二人の関係は、あくまでも友情で結ばれたもの。


佑介に彼女が出来たことも何回かある。


しょっちゅう、合コンにも繰り出している。


だから、佳澄は、自分は佑介の恋愛対象にはないんだという風に自覚していた。


それをも我慢してまで、佳澄は友達としてずっと佑介の隣にいることを選んだ。


アイシテルなんて、口にさえしなければ、佳澄の立場はこれからも安泰なのだから。

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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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