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* 第二十一話 * ~佳澄の場合~ ⑥

霜月。


人恋しくなる季節だった。


秋もすっかり深まり、冬に移行しようというこの時期。


ただでさえ寒いのに、隣に抱きしめてくれる人がいないという現実は、佳澄の心をますます凍えさせる。


佑介を好きになって、毎年、こんな思いをしてきた。


傍にはいるけど、遠い。


景色は美しいのに、寂しくて。


だから佳澄は錦秋の時が大嫌いだった。


だけど、この秋は違う。


佳澄を想ってくれている人が現れた。


デートに誘い、毎日、電話をくれる秋谷が。


想われる恋愛など久しく縁がなかった佳澄は、最初こそ戸惑ったが、段々心地が良くなった。


秋谷は優しい。


とても暖かな、和やかな笑顔で、真摯に佳澄を迎えてくれる。


会う度に、癒されていく自分が分かる。


それなのに…。


心の真実の部分では、やはり佑介を求めていた。


佑介と一緒にいるのが当たり前で、何年も過ごしてきたのだから。


近くに居過ぎてダメなのかもしれない。


その馴れ合いが、益々失う怖さを増幅させていくのだ。


触れたくて、手を伸ばしても届かない。


手を握ろうと思えば、出来る距離に二人はいるのに。


佑介の知らないところでしか、涙をこぼせない。


友達というバリアは、心を素直に開かせてくれない。


臆病な佳澄は、やはり、この隔たりを越えようとは出来ずにいた。


こんなに苦しいのに。


「秋谷さん、私、忘れられない人がいるんです…」


「うん…、そんな気はしてました。でも、それでも僕は佳澄さんと会っていたい」


彼女が手を伸ばせば、その手をとってくれるのだ。


秋谷は、確実にそれを握り返してくれる。


そして、だんだんと佳澄の自信となっていく。


愛されているという自覚と自信は、女性を美しく変えていった。


 

 

師走のある日。


佳澄に佑介からメールが入った。


【一昨日の合コンでかなりイイ女と出会っちゃった。これ運命かも!】


呆れるほどに能天気なメールだった。


これまでも佑介にとってよくあること。


些細な内容だったが、佳澄はこのメールで、ようやく心を決める決心をする。


 ―― 私、ちゃんと秋谷さんと向き合おう。

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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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