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* 第二十一話 * ~佳澄の場合~ ⑨

「え。何それ」


絵美がこれ以上ない呆れ顔で佳澄に尋ねた。


「そんで、秋谷さんとのデート途中で止めて、佑ちゃんとこ行ったの?」


「うん…」


「なんでー?秋谷さん、怒ってるんじゃないの?」


お昼休み。


会社近くのカフェで絵美と佳澄は、昨日の秋谷とのデートの顛末を話している。


「やっぱり?」


「だって、せっかくいい雰囲気だったんでしょう?ただでさえ、途中で帰るって微妙なのに。まして、他の男の看病の為って」


絵美の口から思わずつばが飛んだ。


慌てて、口元を拭う。


「ごめ…。興奮しちゃったわ」


グラスから一口水を飲むと、もう一度落ち着いた口調で絵美が言った。


「秋谷さんも了承済みだとしても、かなり失礼だと思うけどなー」


「そう…かな」


なんだか、ずっしりと責任を感じてしまい、佳澄は箸が進まなくなった。


「まあさ、いいヤツぶりたかったのかもしれないけどね、秋谷さんが」


「え?」


「相手は病気だし?俺って懐深いだろ、優しいだろ、みたいな?」


そんな絵美の言い方に佳澄はちょっとムッとした。


「そんな計算じゃないよ。秋谷さん、ホントにいい人なんだと思う…」


「あれー?かばうんだ?」


茶化す絵美に、佳澄は頬を赤らめる。


あとから運ばれてきたコーヒーに絵美が砂糖を入れた。


「にしてもさ。佑ちゃんってのも絶妙なタイミングで邪魔してくるよね。具合はどうだったの?」


「…うん。熱も全然下がらないから、一緒に夜間診療に行ったの。そしたら、インフルエンザだった」


「げ。あんた、大丈夫?」


佳澄もコーヒーに口をつけた。


 ―― やっぱり、秋谷さんにひどいことしたのかな、私。


昨日、心配で心配でたまらなくて、秋谷の厚意に甘えて、佑介の家へ向かった。


夜間診療を終えた後、帰るなり家のリビングのソファにぐったり倒れこんだ佑介を見ながら、なんでこんなことしているんだろう?と疑問に思ったのも確かだ。


自分は佑介の彼女でも妻でもない。


単に、佑介が頼れる友達として佳澄を呼んだだけ。


好きな男をあくまでも友達として看病するのは当たり前の行為なのだろうか?


 ―― なんの見返りもないのに?


そう考えて、なんて浅ましいのだろうと自分自身を恥じた。


 ―― 色恋の問題じゃない。私も秋谷さんも、病気の友達を見捨てられなかっただけだ。


佳澄は、そう思おうとした。


「あ、やば」


絵美のその声にハッとする。


慌てて、腕時計を見ると、まもなく13時をさすところだった。


「わ!」


二人は、急いで店を出た。

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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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