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* 第二十一話 * ~佳澄の場合~ ⑩

就業時間も過ぎた。


佳澄は、昨日の秋谷の気持ちを思うと、なんとなく立ち上がる気になれず、そのまま席にぼんやり座っていた。


後ろから両肩をがしりとつかまれる。


「まあさ、ちゃんとフォローしときなよ!じゃ、お先」


既に帰り支度を終えた絵美がそう言って、ドアを出て行った。


「おつかれさま…」


力無く応えて、佳澄はゆっくりとデスクにうつ伏せた。


頭が重く感じる。


だが、思考はめまぐるしかった。


 ―― 佑ちゃん。


 ―― 秋谷さん。


愛したいか、愛されたいか。


佑介に長年想いを寄せていた佳澄には、他に目を遣るという選択肢がなかなか無かった。


今回初めて、秋谷という存在に出会って、佑介以外の男性と二人きりで過ごすという経験をし、少なくともそれはとても楽しく素敵な思い出となった。


秋谷が佳澄に好意を持ってくれていること自体にも嫌悪は一切ない。


むしろ嬉しいし、歓迎している。


昨日だって、あのまま秋谷の部屋に行っていたら…。


ひょっとするようなことがあったかもしれない。


あの時、佳澄はその気になっていた。


隣を歩く秋谷に触れたいと思った。


手をつないでもいいのかなと迷ったりもした。


 ―― これって、好き…ってことなのかな。


佳澄は、デスクに突っ伏したまま、目を閉じた。


 TREEE...


突然、携帯電話が鳴って、ビクっと目を覚ます。


見ると、佑介からだった。


心臓がキュっと縮む。


身体を起こした佳澄は、通話ボタンを押した。


「もしもし?」

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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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