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* 第二十二話 * ~忠則の場合~ ②

夏休み。


普段のファミレスのバイトは、夕方から夜間のシフトに入っている忠則だったが、この2ヶ月は早朝から夕方までのシフトに入れてもらうことにした。


昼と夜の違いだけで、業務にも多少の差が出てくる。


忠則は、店長に昼のリーダーを紹介してもらった。


「斉藤くん、彼女がリーダーの奥居さん。分からないことやシフトの相談は彼女にして」


忠則は、“リーダー”という呼び名のイメージから貫禄のあるおばちゃんスタッフを想像していた。


それが、意外や意外、奥居さんと呼ばれたその女性は、忠則と同じ年齢くらいの若い女性だった。


もちろん、顔は知っていた。


引継ぎで一言二言、言葉を交わしたこともあるはずだ。


タイムカードに名前があるのも記憶している。


身体は小さいけれど、キリリとつりあがった大きな目が印象的であった。


 ―― この子、リーダーだったんだ。


「奥居窓香です。よろしく」


「あ、斉藤です。早番は初めてなんで、よろしくお願いします」


「大して仕事は変わらないわよ。オープン作業だけ覚えれば、あとは夜と一緒だから」


聞くところによると、窓香は去年せっかく入学した短大を1週間で退学し、現在はフリーターらしい。


ファミレスのホールでバイトしだして一年半。


週に6日は出勤しているので、仕事に関してはベテランの域のようだ。


「へえ。1コ上なんですね。俺より年下っぽく見えるのに」


「背小さいから、余計でしょ?」


窓香は身長150cmあるかないか程。


そんな身体をちょこまかと使って、しかし完璧に業務をこなす。


誰よりも多く、皿を運ぶ姿は、一種の妙技だった。


「仕事出来ないヤツは嫌いだから。サボったりしたら、承知しないわよ」


「はい…」


ただ、他のスタッフは勿論、店長も一目置く存在の彼女は、少しだけ周りから浮いているようでもある。


見方によっては、孤立しているとも言える。


その理由は、出来すぎる仕事にあるのだろうと、忠則は勝手に思っていた。


「おい、斉藤!」


正社員であるキッチンスタッフからお呼びがかかった。


「はい」


急いで、キッチンの方に駆け寄る。


「今日、無断欠勤で人手足りねえから。お前、洗い場やって」


「わかりました。じゃ、奥居さんに一言…」


忠則がホールに戻りかけると、


「ああ、いいよ。言わなくても。あいつ、分かってるから。それより、早くやれ。もう溜まってるぞ」


「はい」


忠則は、早速腕まくりをして、皿洗いに取り掛かった。


合間にちらりとホールを覗くと、パートさん数名と窓香がてんてこ舞いしていた。


「おら、手が止まってるぞ。斉藤!」


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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