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* 第二十二話 * ~忠則の場合~ ⑥

「ハックション」


忠則は眠っていたらしい。


薄く目を開けると見慣れない部屋にいた。


冷房が強くかかっていて、部屋はキンキンに冷えている。


小さなテレビが付けっぱなしになっていて、暗闇の中で緑色に光っていた。


音量は絞ってあってよく分からない。


ようやく身体を起こすと、脳味噌が大きく揺れたような錯覚を覚えた。


「っつ…」


ひどい頭痛だった。


眉間に皺を寄せ、目を凝らしてテレビ画面を見つめる。


「…!?」


思わず息を呑む。


裸の男女が激しく絡み合っている映像だった。


慌てて周りを見回す。


手元に窓香が首までシーツにくるまって可愛らしい寝息を立てて眠っていた。


忠則がいるのは、大きなベッドの上だった


そっと右手で自分の身体を触ってみた。


鳥肌が立っている。


 ――裸だ…。


着ていたはずのTシャツ。


トランクスは履いている。


キョロキョロと目だけで探すと、脇のソファにくしゃくしゃに丸まっている布とジーパンがあった。


おそらく、あれが忠則のTシャツだろう。


「やべぇ…」


小声で呟いてみるも、状況は何も変わらない。


忠則は窓香を起こさないように、ベッドからそっと抜け出した。


そこで、改めて気付く。


頭もひどく痛むが、何よりも股間が痛い。


激痛だ。


「いってぇ…」


歩けない。


思わず、その場にうずくまってしまった。


額には脂汗が滲む。


息遣いに気付いたのか、窓香が身体を起こした。


「斉藤くん?」


その声に、かすかに顔をあげる。


シーツにくるまっていたはずの窓香は、しっかり服を着たままベッドの上から忠則を覗き込んでいる。


「どうしたの?」


「いや…、なんでも…」


明らかに何でもなくない状況の忠則を見て、窓香が吹き出した。


「きゃはははは…。やだ、痛いの?アソコが?」


「ちょ、笑ってる場合じゃ…」


お腹を抱えて笑っている窓香に忠則は必死で抗議しようとするが痛みで声にならない。


「あ、寒いね」


突然笑い終えると、今気付いたかのように、窓香がエアコンを切った。


「こ…、ここ、どこ?」


なんとか、忠則が尋ねる。


「ラブホよ。まさか、覚えてないとか言わないでよね?」


平然と答えた窓香に、忠則が愕然となった。


 ―― ラ、ラブホ?って???


ますます脂汗が滲んだ。 


幸いにも、記憶はゆっくりと戻ってきた。


そして、忠則の頭にカァッと血が昇っていくのが分かった。

 


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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