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* 第二十三話 * ~毅の場合~ ⑤

「タケちゃん…」


千春が、新曲の詞に目を通してから、俺に言った。


キーボードをいじっていた俺は手を止めて、千春の方を見る。


「これ…」


千春の手には白い紙。


それを俺に突き出した。


「私の事、好きなの?」


「そういう風にとれた?」


俺は、少し意地悪な返答をした。


今回、俺が書いた新曲は、まさに千春を伊崎から奪取するぜという宣戦布告の歌だった。


「祥太郎への悪口に受け止めた」


そう言って、千春はニヤリとした。


「いいんじゃない?それで」


俺は、そっけなく答え、立ち上がると自分の鞄から煙草を取り出そうとした。


「ふーん。ということは、これ、私への告白と考えてもいいのかしら」


俺に向かって挑戦的に白い紙をバサバサと振った。


ちょっとドギマギしたので、誤魔化すために煙草に火をつける。


煙を深く吸って、ゆっくりと吐き出した。


「祥太郎ね。疑ってるわよ。私たちの関係」


「へえ」


「私は、タケちゃんは親友よって、祥太郎に言ったの」


煙草はまだ残っていたが、俺は途中で灰皿に押し付けて消した。


千春のもとへ近づくと、手をとって椅子から立ち上がらせる。


そして、少し強く引き寄せると、俺の腕の中にフワリと千春の身体を引き寄せた。


持っていた白い紙が、宙を舞い、床に落ちていく。


千春は強く抵抗することもなく、俺の胸に頬を埋めた。


「親友って、こういうことしてもいいのかな」


俺はそう呟きながら、彼女の身体をギュッと抱きしめる。


「…タケちゃん。苦しいよ…」


「その歌詞のまんまだよ。俺は、千春を伊崎から奪いたいんだ」


少し力を緩めたら、千春が胸から顔を離して、俺の顔を見上げた。


今、この瞬間。


俺、我慢しなくてもいいよな。


潤んだ瞳を見たくなくて。


俺は、千春の唇にそっと自分の唇を重ねた。


数秒、千春は俺を受け入れてくれた。


そっと顔を離す。


千春は、俺の目を見られないようで、目を伏せたまま呟く。


「煙草で誤魔化すの、ズルいよ…」


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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