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* 第二十三話 * ~毅の場合~ ⑧

ある日、俺と千春は気晴らしに出掛けようということになり、渋谷まで繰り出した。


二人で専門学校周辺以外の場所で会うのは実は初めてだった。


千春も心を許し、俺にも遠慮がなくなったってことだ。


事実上のデートだと思ってもらっていい。


「映画でも観ようか」


「うーん、でも今からだと帰りが遅くなっちゃうなあ」


千春は腕時計に目を落としながら少し渋っていたが、映画館の前でポスターを見た途端、


「あ、これ観たかったの!」


と笑顔になった。


ジュリア・ロバーツ主演のベスト・フレンズ・ウェディング。


俺には少々甘すぎたが、まあ千春が観たいっていうなら良しとしよう。


【小さな願い-I Say a Little Prayer-】はやっぱり名曲だな。


ちょっと歌詞にグッときた。


千春も印象に残ったみたいで、鼻歌で「Forever,and ever…」とやっている。


ほんわかした気持ちで二人並んで映画館を出ると、千春の足がパタと止まった。


気付いて、振り返る。


「どうしたの?」


固まっている千春の視線の先に目を遣ると、ソアラが停まっていた。


「あ…」


運転席のドアが開き、降りてきたのは、伊崎である。


こちらには来ず、車越しに立って、こちらを見ている。


「千春姫、お迎えに上がりました」


伊崎がおどけた。


が、目は笑っていない。


「…祥太郎。なんで…」


千春の様子から、今日俺と一緒にここにいるということは知らせていなかったようだ。


俺も覚悟を決めた。


伊崎のもとに行くべく一歩踏み出そうとした千春の腕を掴んだ。


「!?」


ビックリして俺を見る千春。


俺は真剣な表情で千春の目を見つめると、「行くな」と強く念じた。


「タケ…ちゃ」


千春はおどおどして、伊崎の顔を見ると、また俺に顔を戻す。


バタンと車のドアが閉まる音がして、伊崎がガードレールを越えた。


こちらにやってくる。


俺は、じっと伊崎を睨んだ。


「おい、有野。千春困ってるだろう。腕、離せよ」


そう言いながら、俺に近づいてきた。


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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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