FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

* 第二十三話 * ~毅の場合~ ⑬

その夜、俺と千春は結ばれた。


なんか、恥ずかしいけど。


その最中、伊崎の顔ばっかチラついて、どうしようもなかった。


伊崎は、ここでどうするんだろう。


こんな感じで千春は悦んでくれるんだろうか。


一人で汗をかいていた気がする。


行為が終わって千春の細いしなやかな身体を抱きしめると、やっと俺だけのものになったという実感と共にまだ信じられない思いもわいてくる。


「俺…、絶対大切にするから。…伊崎よりずっとずっと…」


つい、そんな台詞が零れてしまう。


もう一度、強くギュッとしたあと、俺はゴロリとうつ伏せになって、枕元で煙草に火をつけた。


同じようにうつ伏せになった千春が細長い指を伸ばし、俺の煙草をそっと奪い取る。


千春の唇から、ゆっくりと煙が出て行く。


「煙草、吸えたんだ?」


「うん…。一応やめたけど。たまに…」


そう言って、俺の方にある灰皿に吸いかけの煙草を置いた。


たまに…のあと、何か言葉を飲み込んだような気がしたが、俺は詮索しなかった。


 

 


翌日、渡り廊下でバンドの練習に向かう伊崎と千春を見かけた。


次のライブが終わるまでとは言え、まだ一緒に行動するのかと嫉妬した。


千春の表情は硬い気がするが、隣の伊崎は嬉しそうにいろいろ話しかけている。


学内では、千春と別れたという話が公になり、他の女どもが伊崎を放っておかないらしい。


やはり金持ちで学があってルックスの良い男は違う。


というよりも女どもが現実的で浅ましいのかもしれない。


さっさとそっちで手を打てばいいのに。


なんなんだ、あの伊崎の馴れ馴れしさは。


そんな様子を目で追ってしまう自分が情けない。


立ち尽くす俺に伊崎が気付いたようだった。


わざとらしく俺を見ながら、上から千春の肩を大きく抱くと、その先を曲がっていってしまった。


「アイツ…」


でも、そこで、はたと思う。


伊崎も。


伊崎も今の俺みたいな気持ちで、千春と俺の様子を見ていたんだろうな。


少し切なくなって、俺はひとりで帰路についた。


人気ブログランキングへ

 

プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

検索&ランキング
参加しています。
にほんブログ村 小説ブログへ 人気ブログランキングへ
よろしくどうぞ。
カテゴリ
最新記事
Twitter
リンク
このブログをリンクに追加する
MicroAd
CHECK IT!
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。