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* 第二十三話 * ~毅の場合~ ⑭

家に帰っても、さっきの伊崎と千春の姿がチラついてどうしようもなかった。


彼氏は俺。


彼氏は俺。


必死で言い聞かせて、自分を納得させる。


灰皿にまだ火がついた煙草が残っているのに、また新しい一本に火をつけてしまう。


何回やってるんだ。


貧乏揺すりに灰が舞う。


落ち着け。


苛々してどうしようもなかった。


練習が終わった頃に千春に電話するが出ない。


携帯も自宅も、俺の耳元で呼び出し音が空しく響き、留守電に切り替わるだけだった。


深夜零時もまわり、ウトウトしかけていた時、電話が鳴った。


俺は飛び起きて、受話器を取る。


「もしもし…、タケちゃん?」


「千春!こんな時間まで何やってたんだよ。また伊崎に引き止められたのか?」


第一声で俺はついこんなことをまくし立ててしまった。


沈黙に、しまったと焦っても後の祭りだ。


「あ…ごめん。なかなか帰ってこないから心配で…」


千春は、口を利いてくれない。


「千春?ごめん。千春、聞いてる?」


受話器の向こうで大きな溜息が聞こえた。


「男なんて、みんな一緒なのね」


そして、通話は切れた。


怖いくらいに冷たい声だった。


どうしよう。


千春を怒らせてしまった。


 何度も掛けなおしたが、千春が電話に出てくれることはなかった。


「何やってんだ、俺は!」


拳でテーブルを打ち付ける。


散々、伊崎の嫉妬に小さい男だのナンだの悪態をついてきたのに。


「車だの家柄だの背の高さだの、そんなんで女釣る男なんて情けないよな」


「高価なモノ渡せばホイホイついてくる女ばっかじゃないってこと思い知らせてやれよ」


過去に俺が千春に言った台詞を思い出して、顔から火が出そうだった。


全部、俺のコンプレックスじゃねえか。


プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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