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* 第二十話 * ~慶子の場合~ ③

「そっか…、詩真、おめでとう」


ひとまず落ち着かせようと思ったら、そんな台詞が慶子の口をついた。


電話口の詩真は泣きじゃくっている。


「一人じゃ不安だよね。今から、そっち行くから。待ってて」


慶子はそう伝えて電話を切ると、真夜中にタクシーで詩真の家へと向かった。






一人暮らしの部屋に着くと、泣き疲れた顔の詩真が出迎えてくれた。


「そこ…座ってください」


そう言って、慶子にクッションを勧める。


「うん、で、体調は大丈夫なの?」


「はい…」


詩真の目に、みるみるうちに涙が盛り上がった。


「さっき…、慶子先輩、おめで…とうって、言ってくれたでしょ?」


「うん」


「私、嬉しくて…」


慶子は優しく詩真の背中をさすった。


「相手の人には話したの?」


詩真は無言で頷いた。


「…彼は、露骨に迷惑そうで…、だから、おめでとうって言葉が…、凄く嬉しくて」


大粒の涙がボロボロと頬を転がっていく。


「堕ろせって?」


「…そこまでは、言われてないけど…、困ったなあって…」


「そう」


慶子は少し姿勢を正して、詩真に問うた。


「で、どうするの?赤ちゃん、産みたいの?」


詩真は、真正面から慶子の目を捉え、力強く頷いた。


「はい、絶対に」


「わかった…。じゃ、相手の男性、説得しよう」


と言ったあとに、慶子ははたと思う。


「不倫とかじゃ、ないでしょ?」


「はい。大丈夫です」


慶子は少し落ち着こうと立ち上がって、窓辺に向かった。


カーテンを少し開けて、夜空を眺めた。


そして、「よし!」と自分に気合を入れると、詩真を振り返った。


「相手は?何処の人?一緒に行ってあげる」


座っていた詩真は慶子を見上げた。


そして、はっきりと。






「輝元先輩です」





慶子の目の前が真っ暗になった。


衝撃を受けると本当に目の前が暗くなるんだと、この時初めて知った。


「なん…?」


絶句するしかなかった。


 ―― 一体何が、大丈夫、なの?

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Comment

cdoor | URL | 2008.10.27 16:30
そうだと思ったけど…。
詩真、何か頭に来るヨ。
美琴 | URL | 2008.10.28 11:11
■うわっ!

マジ嫌な女やなあ・・・
自分が悪いコトしてるって自覚があんまりないのか、ワザとしてるのか、よくわかんないトコがまた嫌だあ~!

現実にもいますよ。そういう女はニオイでわかるので、関わらないように避けて通りマス(-"-;A
香月 瞬 | URL | 2008.10.28 11:12
■そうなのです

>cdoorさん
>美琴さん

こういう頭にくる女って、実際いるのが嫌ですよねー。
もっと天然で嫌味なシーンを入れようかと思いましたが、くどくなるので止めました。
っていうか、個人的な恨みが滲み出てしまいそうで…。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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