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* 第十九話 * ~達矢の場合~ ⑬

「調べた…?」


達也は、頭の中がどんどん冷静になっていくのを感じた。


 ―― 俺は、ここ数日、一体何をやっていたんだ。


あまりの自分の堕ちようを恥じた。


「そう。僕、柴田さんに、あの子は芝居がヘタクソで使えないって嘘ついたでしょう?」


「ああ、そういえば、そうでしたね」


「でも、彼女、巧かったでしょ?下地もちゃんとしてた」


達也は、ウンウンと頷いた。


「ま、本当のことを白状するなら、あんな美しい人を僕のドタバタコメディな舞台に立たせなくなかったってのが本音なんだよね」


主宰は、グイとコーヒーを飲み干し、ふっと笑った。


「ギャグとかやらせて美が崩れるようなことさせたくなかった。でも、あの子は舞台に立ちたがっていた…」


「それで、うちに?」


「うん、願いを叶えてあげたかったんだ。柴田さんの舞台なら、彼女は映えると思った」


達也は、舞台に立つ桜子の姿を思い出した。


素晴らしい出来だった。


あんなに創作意欲を掻き立て、あんなに自分の作品にハマる素材とは、今後なかなか出会えないだろう。


「実は、芸名を変えて、土地を変えて、彼女は他の舞台にも立っていたことがあるそうでね…」


「あ…。確か、桜子は映画に出たことがあるって…」


「そう!そうなんだ!」


主宰は、嬉しそうに達矢の顔を見た。


「その映画、観たかい?何の映画か、聞いた?」


「いや…」


そういえば、作品名まで聞いてないことを思い出した。


主宰は、或る映画のタイトルを挙げた。


「どこかで聞いたことあるでしょう?」


そう聞かれて、達矢は少し考えた。


記憶の片隅まで、手繰り寄せた。


「ああ!」


舞台人ならば、必ず一度は聞いたことがあるはずだった。


新進気鋭の監督作品。


多くの舞台役者たちが、その映画に参加した。


幻の名作…。


その映画は、お蔵入りになり、上映はされていないはずだ。


有名なスキャンダル。


達矢はハッとして、主宰の方を向いた。


「いや、まさか…」


主宰は、ゆっくりと頷く。








あの映画の監督は、クランクアップ直後に主演女優を殺し、自殺したのだ。


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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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