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* 第十九話 * ~達矢の場合~ ⑨

目の前が真っ暗になるというのはこういうことか。


耳を疑った。


「他の女の子たちも薄々勘付いてるわよ。男たちが鈍感過ぎる」


達矢は橙子に反発した。


「桜子がそんな女なわけないじゃないか!だって…」


どれだけ彼女が魅力的な女性かということを滔々と話して聞かせた。


橙子は鼻で笑った。


「私、衣装探しの時に一緒に電車乗ったけど、あの子、普通に吊革掴まってたわよ?」


達矢は、橙子を信じられないという目で見つめた。


「なんて、底意地が悪いんだ、お前は!」


「柴田が騙されてるんでしょうよ。俺がいないとダメなんだとか?ほっとけないとか?あんまり笑わせないでよ」


頭に血が昇っていくのが分かる。


こめかみに血管が浮き出ている。


「そんなことして何が目的かは知らないけど。とにかく男という男に大股開いてるのは間違いないって言ってんのよ」


女が女を罵倒する。


醜い嫉妬を見たんだと達矢は思った。


「いずれ、ちゃんとしないと、男どもが狂うわよ」






結局、橙子とは喧嘩別れして、家路に着いた。


達矢が階段を昇った先、部屋の前に桜子がいるのが見えた。


「…来てたのか」


ポケットから鍵を取り出しながら、溜め息混じりに声を掛けた。


「どうしたんですか?なんか元気ない…ですね」


「いや」


グイと大きく扉を開き、「入れよ」と促した。


達矢は、さっき見掛けた桜子らしき人物と今目の前の桜子の服装が違うことに対し、安堵と不安の入り混じった複雑なものを感じた。


「君は…、今日は誰かと会った?」


桜子は不思議そうに小首を傾げ、長い睫毛を瞬かせた。


「いや…、ごめん。いいんだ」


そう言って、達矢は桜子を大きく抱きしめると、そのまま床に押し倒した。


 ―― 桜子。お前は、俺の…、俺だけのものだろ?



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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