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* 第十九話 * ~達矢の場合~ ④

桜子の稽古の様子を見る限り、体力はあるようだった。


長距離走にもついてこれるし、腹筋や腕立て伏せも問題ない。


身体の柔軟性もある。


あんな華奢な身体のどこにそんなパワーがあるのだろう?と不思議に思ってしまう程だった。


「運動神経良さそうだね」


達矢がストレッチをしている桜子に声を掛ける。


「はい、身体には自信があるんです。殺陣も日舞も経験あります」


桜子ははきはきと答えた。


前屈をすると、汗が首筋を伝い、襟元からTシャツの中に落ちた。


その様子が艶めかしくて、達矢は思わず目を逸らした。


発声もちゃんとしていた。


早口言葉も言える。


 ―― なんで、彼女は役をつけてもらえなかったんだ?


達矢は不思議でしようがなかった。


ハッキリ言って、桜子なら、こんなしがない小劇団にいなくとも、大手のオーディションを受ければ合格出来るだろうレベルだ。


ルックスだけでもモデル事務所で拾ってもらえるかもしれない。


一体、どれほどの大根役者なのか。


「舞台…立ったこと、ある?」


「いえ、ないんです」


桜子は伏し目がちに言った。


「以前、映画に出たことはあるんですけど…」


 ―― やっぱり…。芸能界に身を置いてはいたんだ。


その時、何の映画に出たかは聞かなかった。


聞いたら、観たくなるだろうし、観てしまったら、イメージが制限される気がしたからだ。


「柴田さん!」


ある男の役者が提案してきた。


「今日、桜子ちゃんの歓迎会でもやりましょうよ。稽古終わったら、パーッと」


そう言って、手で酒を飲むジェスチャーをした。


演劇人は、金もないくせに何かと理由をつけて飲みたがる。


達矢はその時なんとなく心の中に重たい何かを感じたのだが、それが何だか分からなかった。


そして、大して気にもせずにいつものことだと劇団員全員で飲みに行くことに賛成した。


「よし、じゃ、そうしよう」


言いだしっぺの肩をポンとはたいた。


「お前、店予約しといて」


「うへ、俺かー」


桜子は嬉しそうにニコニコとみんなを眺めていた。




叱咤激励!




Comment

cdoor | URL | 2008.10.27 15:49
> 一体、どれほどの大根役者なのか。
ホントだよね。
何か重大な秘密があるのかも…。

香月 瞬 | URL | 2008.10.27 15:50
■ホントに、ねえ

>cdoorさん
こんなに謎にしちゃって、この先どうしましょ。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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