FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

* 第十九話 * ~達矢の場合~ ③

数日後、達矢は水城桜子を稽古場に呼んだ。


現れた桜子は、首に使い古した白いタオルを引っ掛け、こちらが一瞬引く程にダサいエンジ色のジャージを着ていた。


長い黒髪をひっつめ、頭上におだんごに結い上げている。


ただ、顔だけは異常に美しかった。


先日と打って変わって、スッピンなのにそれを感じさせない程、透明感のある白い素肌。


マスカラもつけてないのに長く豊かな睫毛と大きな瞳は、とても印象的だった。


達矢は、正直、見惚れた。


コホンっと一つ咳払いをすると、稽古場の劇団員に向かって、話した。


「今日から入団した水城桜子さん。とりあえず、練習生として扱うから。みんな、よろしく頼むよ」


あちらこちらから返事が聞こえる。


気のせいか、男性陣の声が弾んで聞こえた。


「じゃあ、基礎練習からだから。ひとっ走り、みんなと、行って来て」


達矢は、劇団員にランニングを指示した。


みんなが出口へ向かう中、看板女優の堀川橙子が、達矢に耳打ちしてきた。


「どっから引っ張ってきたのよ、あの子」


「ああ、あいつがこの前に客演したとこにいた新人だよ。そこの主宰に押し付けられたんだ」


「へーえ…」


橙子は意味ありげに達矢を見てニヤリと笑った。


「気をつけなさいよ?」


そう言って、外に出て行った。


「どういう意味だよ」


達矢は首をかしげながら、鞄からノートパソコンを取り出すと、電源を入れた。


さっきから、ありえないくらいに創作意欲が湧いているのだ。


身体の芯の辺りからフツフツとアイディアが湧き出てくる。


モチーフは全て、桜子の存在感だった。


彼女をイメージした話がどんどん浮かんでくる。


達矢は、溢れるように出てくる言葉たちを漏らさないように、パソコンに次々と打ち込んでいった。




叱咤激励!


Comment

cdoor | URL | 2008.10.27 15:47
恋をすると創作活動は充実します。
これ“定理”みたいなもの。
芸術家はみな色恋大好き。

Comment Form
公開設定

プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

検索&ランキング
参加しています。
にほんブログ村 小説ブログへ 人気ブログランキングへ
よろしくどうぞ。
カテゴリ
最新記事
Twitter
リンク
このブログをリンクに追加する
MicroAd
CHECK IT!
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。