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* 第十八話 * ~佑介の場合~ ⑤

佑介と佳澄は、上野駅パンダ橋を歩いていた。


「いやー、さっきごめんねー。周りの人、別れ話でもしてるとか思ったかなあ?」


佳澄が妙に明るく話しかけてくる。


心地良い夜風が吹いていたが、そんなのを気にする心の余裕も佑介にはなかった。


女性が自分の隣で泣いたということにここまで動揺するとは。


「…佑ちゃん、私さ、ホントは」


佳澄が意を決して何かを言おうとした時、酔いに任せて、佑介は携帯電話を投げつけた。


多分、佳澄じゃなかったら、抱き締めていたかもしれない力の行方をどう逃がしていいのか分からなかったのだ。


佳澄がビックリして、佑介を見る。


「くっそ」


地面に落ちた携帯電話を蹴っ飛ばそうとして、当たらずにスカッと足が抜けた。


恥ずかしさで、苛々がピークに達する。


「~~~んんもうっ!」


「ちょっと、佑ちゃん?」


髪を掻き毟る佑介の背中に佳澄が手を触れた。


びくっとして、佳澄は手を離す。


佑介は携帯電話を拾うと、大きく深呼吸した。


「すまん。悪酔いした…」


聞き取れないくらいに小さな声でそう告げると、佑介は早足で駅構内に向かっていった。


「ちょっと、…ねえ!佑ちゃん!」


唖然とした様子で、佳澄は佑介を呼び止めたが、彼が歩を緩めることはなかった。





京浜東北線に乗った佑介は、ドアの隅に立ったまま、頭をガラスにつけた。


 ―― ずっと前から気付いてたよ…。


手に握り締めていた携帯電話を見た。


液晶画面にヒビが入っていた。


そこに映る佑介の顔が歪んでいる。


 ―― 佳澄は、俺のことが好きなんだろう。


そんなことには、大学の頃から気付いていた。


だけど、言わせちゃいけないと思って、わざとそれを否定し続けてきた。


自分もあいつも、そんな恋愛感情なんて、ありえないと。


佳澄のことを人間として大事に思うから、今のまま友情を保ちたかった。


男女の関係になったら、いつか佳澄を失う日が来るから。




叱咤激励!






Comment

美琴 | URL | 2008.10.27 15:19
■うーん・・・

佑介の気持ちもわかるけど、

そういう行動されちゃったら、女の子としては・・・

佳澄ちゃんは傷ついただろうな・・・

たぶん、その行動と佑介の気持ちをリンクさせるのは難しいよね。

男の不器用さは時に女の思考を超えるというワンシーンですね。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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