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* 第十八話 * ~佑介の場合~ ③

「最近、本、何読んでんの?」


佳澄がジョッキのウーロンハイをあおりながら、聞いてきた。


「んとね、半落ち。今、カバン中あるよ」


「へー、横山秀夫だっけ。…私、世界の中心で、愛を叫ぶ読み終わった」


「軽っ」


「んなことないよー。泣けるよー?やばいから」


とりとめのない会話。


佑介と佳澄はいつもこんな感じだ。


「純愛ねえ」


佑介がしらけたように言うと、佳澄が突っ込んでくる。


「あんた、エレガとどうなったのよ?」


「えー?どうもこうも、とっくの昔にフラれたよ。何回か合コンセッティングさせられただけ」


「うわー、悲惨。かなり入れ込んでたのにねえ」


うるせえよ、と佑介もビールから焼酎に切り替えた。


酒が回ってきたらしい佳澄が、潤んだ目で隣の佑介を見つめた。


少し引く。


「何?」


「…なんでもない」


佳澄は、鶏せんべいを手に取った。


時々、こういうことがある。


何か言いたげに佑介を見るのだが、決して言葉にしない。


もしかしたら、自分のことを好きなんだろうか?と考えたこともあったが、普段の佳澄を思うと、それはないなと即座に否定出来た。


そもそも、万が一そんな感情をぶつけてこられても、困惑するしかない。


佑介にはその気がサラサラないのだから。


「今日さ、契約取れたんだ」


「へー。良かったじゃん」


佳澄は本当に嬉しそうに笑ってくれた。


「今回、ダメだったら、転職も考えてたんだ。東京から離れるのもいいかなって」


「え?」


佑介のこの告白に佳澄は相当ビックリしたようだった。


「逃げるわけじゃないけど…。結構追いつめられてたんだよね、実は」


「…」


佳澄は、じっと自分の手を見つめていた。


少しの沈黙のあとに「そっか…」と小さく呟いた。




叱咤激励!






プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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