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* 第十七話 * ~友紀の場合~ ?

「別れたいです」


沈黙。


とてつもなく長い時間に感じた。


友紀が吐いた溜息が聞こえたのか、ようやく喜田が口を開いた。


「なんで?」


「それは、…うーん、…なんか、違う気がするんです。好きとか、そういうんじゃなくて」


また沈黙。


「ハッキリ言って、いつもいつも、好き?って聞かれるのが苦痛で…。それって、私は好きじゃないんだろうなって、…そう、思うんです」


だんだん友紀の心の中に悪魔のような冷徹な気持ちが台頭してきて、まるで言葉攻めをするように、喜田にダメージを与えていった。


「確かに、かっこいいなって思ってましたよ。でも、単に憧れでしかなかったんですよね。喜田さんのこと何も知らないのに…、私のことだってまだよく知らないくせに、好きだなんて、おかしいですよ」


同じ部屋の先輩たちが、ちょっとちょっと!と慌てふためいて、友紀の電話の様子を見ていた。


「私にはまだ付き合うとか早かったんだと思います。恋に恋して、よく考えもせず、OKしちゃって…」


喜田は黙って聞いているようだった。


「すみませんでした…」


友紀はハッキリと伝えた。


受話器の向こうでは、もしかしたら泣いているんじゃないかと思うほど、緊迫した空気が伝わってきている。


「…わかった」


かすれたような、やっと搾り出したような声が微かに聞こえ、電話は切れた。


友紀は急に力が抜けて、ヘナヘナと座り込んだと同時に、全身がブルブルと震えだした。


「友紀ちゃん!」


先輩たちが取り囲む。


「あんた、大丈夫?すごい、…すごいことしたね」


「ちょっと言ってることキツかったけどさ、頑張ったよー」


友紀の背中をさすってくれる。


震えがなかなか収まらなくて、友紀は自分で自分を抱きしめるようにギュッと縮こまった。


「あ…、ああ…」


やっと漏らした声と同時に、友紀の両目からどっと涙が溢れた。


 ―― 苦しかった…。


先輩はよしよしと頭を撫でてくれた。


「正直になっただけだよね。やっと言えて良かったね」


自分を肯定してもらえて、ようやく肩の力が抜けた。


だけど、人を一人、傷付けたのは間違いない。


そんな罪悪感もあった。



叱咤激励!



Comment

美琴 | URL | 2008.10.27 15:07
■ああ・・・

なんて残酷な別れ方・・・
でも若い時には、そんな自分の残酷ささえも分からないんですよね。
とても自分勝手な事をしているのに、相手がどれだけ傷ついたのかも考えず、また気付かずに自分が可哀相だからとしか思わない。

私もそんな若者でした。
読んでいて自分の過去を見ているようで、とても胸が痛みました。
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 15:08
>美琴さん

この頃から、器用に立ち回れる女の子と生真面目な女の子で、差が出てきますよね。
私は、とりあえずとかキープとか気を持たせるっていうのが全然出来なくて、まんま友紀な感じだったかもなって思います。
男心をくすぐるテクニシャンになりたかったです(笑)。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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