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* 第十六話 * ~麻弥子の場合~ ?

帰り道、コンビニに寄る里実。


何か作って食べる気にもなれず、軽くサンドウィッチでも買っておこうと思った。


ドリンクの冷蔵庫の扉を開けようと手を掛けた瞬間、有線からあの曲がかかる。


 ― 私の為に作ってくれた曲なの。


麻弥子はそう言った。


里実の全身は鳥肌におおわれ、その場に立ち尽くした。


「やっぱり、麻弥子、かばってるよ…」


ギタリストの顔が浮かぶ。


里実は、何も買わずにコンビニを飛び出した。


近くの本屋に入り、音楽雑誌のコーナーでバンドの所属事務所の連絡先を携帯電話にメモると、すぐさま店外に出て電話を掛けた。


 ― 私、何しようとしてるんだろう…?


勢いに任せた自分の行動が少し怖くなった。


しかし、とにかくマネージャーに繋げてもらおう。


電話がかかり、応答がある。


運良くバンドの担当マネージャーがつかまった。


里実の脚はガクガク震えている。


不審そうな男性の声が受話器から響く。


「はい、マネージャーの糸井ですが、一体何なんでしょうか?」


里実は大きく深呼吸した。


「あ、あの、何年か前にライブイベントの後に、鵜飼麻弥子さんという女性をギターの方に紹介されたことはないでしょうか?」


「はあ?あなた、何言ってんの?」


糸井マネージャーの声はいかにもイラついた感じで、里実はどんどん小さくなった。


「そんな人は知らないけど。それがどうかしましたか?」


その先を言っていいものかどうか迷った。


ほぼ好奇心のみで行動していたと思う。


里実は、えいやっと思い切って声に出した。


「数日前、鵜飼さんが警察に捕まりました。私は、そちらのメンバーの方が関わっていると思っているのです」


フッと強い息の音がした。


「イタズラですか?何の目的でこんな電話してるんですか?強請りですか?」


「違います。鵜飼さんはクスリの所持で逮捕されたんです。身に覚えはありませんかと言っているんです」


「うちの連中がクスリやってるって言いたいの?…お前、侮辱罪で訴えるぞ!」


怒鳴られ、通話は切られた。


当たり前である。


考えなしで行動するものではない。


「何、やってんだろ…、ホントに」


里実は急に怖くなって、身体からヘナヘナと力が抜けた。



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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