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* 第十六話 * ~麻弥子の場合~ ?

警察から連絡のあった翌日、里実は会社を欠勤し、麻弥子が拘置されている施設へ向かった。


覚せい剤所持。


尿検査によると、とりあえず最近に使用した形跡は見られなかったそうだ。


初犯であるし、持っていた覚せい剤も微量だった為、面会の許可も出た。


しかし、自分での使用目的でなかったとすると、仲間がいる可能性がある。


麻弥子は今、徹底的に調べられている。


しかし、ようやく自分の名前を明かしたのが逮捕されて三日目の昨日、あとは里実のこと以外は口を噤んでいるようだ。


とは言っても、携帯電話や他の所持品から身の回りのことは既に調べられているだろう。


親御さんにも連絡が行ったかもしれない。


里実は、適当に着替え等を購入し、差し入れした。


面会の場に通される。


ガラス窓の向こうから麻弥子がやってきた。


ゆらりと現れた彼女のやつれ様に里実は目を疑った。


「麻弥子!一体、どうして」


里実は思わず立ち上がって、声を荒げてしまった。


麻弥子は唇の端を少しあげて、ニヤリと笑った。


「久しぶり~」


「麻弥子っ!」


「ごめんね、迷惑掛けちゃって…。頼れる人、思いつかなくて…」


麻弥子は消え入りそうな声で話した。


「弁護士とかは?どうしたの?」


「あはは、いいのよ、そんなの。適当に国選がつくと思う…」


自嘲気味に笑って、麻弥子は里実から顔を背けた。


伏せた長い睫毛の下から一粒の涙が零れ落ちたのを里実は見逃さなかった。


 ― あの人とは今でも会ってるの?


里実は一番聞きたい言葉をぐっと飲み込んだ。


「私…、誰もかばってなんかないのよ…。最近疲れてて…。自分でやるつもりで売人から買ったの…」


麻弥子はそうつぶやいた。


「私が自分で買って…、私ひとりでやるつもりで…、なのに」


そう繰り返して、麻弥子は突っ伏した。


「誰も、誰も信じてくれないの」


声を上げて泣いている麻弥子を眺めながら、里実の心中はどんどん冷静になっていった。



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
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