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* 第十六話 * ~麻弥子の場合~ ?

「それで、部屋でどうしたの?」


里実は聞いた。


麻弥子は少しもったいぶった素振りをした。


「何もなかったの」


モジモジしつつ、少し嬉しそうな表情で、里実に顔を向けた。


「全然喋らないの。キャラ的には饒舌な人なのに、私を前にして何も喋れなくなっちゃったの」


「どうして?」


「運命の人を目の前にして、言葉を失ったってとこかしらね」


なんだか、話を聞いているのが馬鹿らしくなって、里実は席を立ち、勝手にポットから急須にお湯を入れた。


「これ、飲むよ」


「うん、でね?そうだ、あの曲知ってるよね、♪フンフンフーン…」


麻弥子が鼻歌を歌いだした。


それは、まさに彼らの代表曲とも言うべき名曲で、シングルにこそなっていないが、ファンには名高い曲だった。


「これ、私に書いてくれた曲なんだ」


「ええ?」


里実は、正直言って、その言動には呆れた。


名曲をもってして、自分の為の曲だとのたまう。


痛いファンとしか思えなかったからだ。


ただ、全面的に否定出来ないのは、このバンドの歌詞は9割がボーカル作なのだが、確かにその曲は珍しくギタリストが作詞・作曲したものであった。


歌詞の内容も、まあ、わからないでもない。


里実の心の中は、そうなのかと納得したい気持ちとこじつけだと否定したい気持ちが入り混じり、複雑な思いでいっぱいになっていた。


カップに茶を注いで、麻弥子にも渡すと、また座りなおした。


「だから、この曲聴くと、どうしても泣いちゃうんだよね。あの人の気持ちが伝わりすぎて…」


麻弥子はそう言って、頬を赤らめた。



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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