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恋愛小説短編集。
あんまり大きな声ではいえないんだけどね。
あなたは分かってくれそうだから、話すわ。
でも、誰かに話したりしないでね。
実はね。
実は、私。
あの人と付き合っているの。
そうよ、あの人。
ええ、妻子持ちなのは、分かってるわ。
だけど、お互いを必要としているの。
運命の相手だったのよ。
真剣な目をして、鵜飼麻弥子が示す。
金曜夜8時、麻弥子の部屋にある小さなブラウン管に映し出されたもの。
有名な歌番組。
そこでは、今をときめくヒット曲やこれから売り出す新曲が流れている。
今、一昨年あたりから爆発的に売れたバンドのメンバーが、国民的司会者と共に会話をしている。
一人暮らしの麻弥子の部屋に泊まりに来ていた鎌田里実は、半信半疑で画面を指差した。
「え、こ…れ?」
「そうよ」
歌のスタンバイが始まった。
話題の連ドラの主題歌のイントロを奏で出す。
メジャーもメジャー。
そんなバンドのメンバーと今目の前にいる麻弥子が付き合っている?
里実は、いつ麻弥子が「冗談よ」と言ってくれるかと期待したが、どうやら大真面目のようだった。
「彼のギターのフレーズはいつ聴いても痺れるわよね」
「そ…そうだね」
とりあえず、里実は彼女の話を受け入れた。
麻弥子は食い入るように、テレビの向こうの彼を見つめている。
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Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。