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* 第十四話 * ~橙子の場合~ ③

「ゲイだと聞いて、思い当たる節ないのかよ?」


ニヤニヤしながら尋ねてくる柴田を橙子はキッと睨んだ。


「あんたが想像してるまんまよ」


何を隠そう、柴田と橙子の間には身体の関係がある。


お互いの気が乗ると一緒に寝る…、謂わばセックスフレンドの間柄だった。


演出家と役者のそんな関係なんか、よくある話だ。


柴田がニヤけているのは、橙子の性癖を指してのことだと容易に判る。


彼女は、アナルを攻められるのが好きだったからだ。


そして、そこを最初に開発したのは、言わずもがな噂の貴昭である。


なるほど、そっちの気があったのかと、ついつい想像してしまうには十分すぎる理由だった。


「橙子、今夜は俺の部屋に来いよ」


変な想像をして興奮したのか柴田が誘ってきた。


「谷内の話で盛り上がろうぜ」


「まったく、悪趣味ね」


橙子もその誘いに応じた。


でも、それはただ単に一人になりたくなかったからに他ならない。


今夜、一人で過ごすには、心が重すぎた。


橙子はそっと下腹部に触れた。


柴田が目ざとくそれを認めたが、話題にはしなかった。


「さ、稽古始めよ」


「おし」


パンパンと高らかに手を叩いた柴田がパイプ椅子から立ち上がる。


「身体あったまってるかぁ。まず、エチュードからやるぞ~」


散らばっていた劇団員が一斉に柴田に顔を向けた。


橙子は、部屋の一番隅に陣取った。


今日は気分が乗らない。


適当にやり過ごすつもりで、柴田の位置から少し離れる。


明るすぎる窓の外を眺め、目を細める。


青空の真ん中を一筋の飛行機雲が通っていた。


 ― 海外逃亡が、こんなことになるとは、ね。


シャワシャワとした蝉の声で少し気が遠くなった。




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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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