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* 第十三話 * ~ななの場合~ ⑦終

ななの成績は、あれからガクっと下がった。


芳野先生が辞めたあと、違う家庭教師がついたが、ななとウマが合わず、苦痛の日々だった。


あとから父に聞いたクビの理由が、多感な時期のななをまた苦しめたのだった。


芳野先生は、いつの頃からか、授業のない日も、ななの自宅や中学校の近辺をうろつくようになっていたのだという。


ななが学校帰りに偶然会ったあの日も、遠くからななを認めた後、帰ろうとしていたところだったらしい。


芳野先生があの辺を歩いていたのは偶然ではなかったということ。


つまり、今で言うストーカー行為に近いことを彼は行っていたのだった。


父は、芳野先生の大学の同級生だという女子大生から匿名でその情報を得、半信半疑でしばらく先生の様子を伺っていたそうだ。


最初は見守ろうと考えていた父だったが、やや状況が変わった。


ななと芳野先生が実際に街中で出会うこととなり、偶然だったにせよ、会っていて帰宅が遅くなったことを父に報告しなかったことで、発展があると踏んだ父母は強硬手段をとったのである。


あの日、家から出た芳野先生は父に頭を下げ、謝罪したという。


ななの傍にいたくて、近所をうろついていたことを認めたのだった。


それでも、ななは、不当な理由でクビとなった可哀想な家庭教師だと認識した。


父のななに対する愛情はよく分かるが、芳野先生に対して逆に謝罪の気持ちでいっぱいだった。


あのイラストも机の引き出しの奥に大事にしまってある。


ななにとって、初恋だったんだと思う。


あんなに優しくて、教え上手で、意外とよく喋る先生をとても悪くは思えなかった。


両親の過剰反応だと、今でも反発している。


むしろ、両思いだったのかもしれないと、ななは先生を思い出す度に、胸が苦しい。


勉強も手につかなくなり、もちろん受験は失敗した。


第一志望に必ず受かるだろうと学校の教師からもお墨付きを貰っていたのに、落ちた。


かろうじて滑り止めには引っかかったものの、母は、日に日にやつれていくななを見て、あの日の決断を悔やんだようだ。


しかし、父は頑として譲らず、恋に現を抜かした馬鹿者だとななと芳野先生を詰った。


ななは、あんなに好きだった父を憎むようになっている。


遅い反抗期が来た。


そして、いつか、芳野先生のもとへ訪ねていこうと考えている。


受け入れてくれるとは思っていないが、感謝は伝えたい。


父の庇護を離れ、先生に気持ちを伝えたら、今よりは少しだけ自信がつくんじゃないだろうか。


ななの自立の第一歩として…。



 -終-


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Comment

松尾璃玖 | URL | 2008.10.27 14:53
読者になって頂いてありがとうございます!
『恋愛日記カミングアウト』頑張って更新していきますので、
宜しくお願いします☆

素晴らしい短編集ですね。文才の無い私には見習う事だらけで・・・少しづつ読ませて頂きますね。頑張って下さい♪
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:54
>璃玖さん

毎回、読ませていただいています。
文才がないなんてとんでもない。
こっちの台詞ですよ。
更新、待ってます!

泉月 光詩 | URL | 2008.10.27 14:55
続きに時間がかかり申し訳ないです~

いや~、もう本当どない~なんて思ってしまいました。
なんか、なんだろ、ななの気持ちを優先してしまいました。
受験失敗したこと他人のせいにだんなんて、親が悪いとは言わないけれど、自分にもあった恋愛歴をなかったことにしてるような気がして、うまく言えないけど、なな次の恋はがんばってねって思ってしまいました。
香月 瞬 | URL | 2008.10.27 14:56
>泉月さん

ありがとうございました。
お疲れ様でございます。

どこ目線にするかで、読み方変わるかもしれないですね~。
小町 | URL | 2009.04.02 10:23 | Edit
何か学生のほわ~っとした恋愛っていいな~♪
切ないんだけど、新鮮なんだよねぇ。
ついつい自分を振り返ってしまうのですが、あの頃の親の気持ちこのななちゃんのを読んで納得しました。
理不尽な~と思っていたけど、ななのお父さんの決断は納得。
それぞれの心情がどちらも納得です。
そういう所とても上手に書いてて凄いなぁ。
香月 瞬 | URL | 2009.04.02 14:27
お久しぶりです。
いつも感想ありがとう!

そんな風に読んでいただけるのは本当に嬉しいです。
オトナにならないと分からなかった事、沢山ありましたよね。
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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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