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* 第十二話 * ~茂樹の場合~ ⑪終

「へえ、そんで?」


「郁美とはそれっきりですよ」


茂樹は、職場の先輩である伊達和人の部屋にいる。


「なんか微妙に気まずくて、翌日駅まで送って、あいつが東京帰ってからも何回か電話で話はしたけど、会いはしなかったんです」


伊達が、空いたグラスにブランデーを注いでくれた。


茂樹が軽く会釈して応える。


「結局、天野さんってのにも手出したんだろ?しかも、俺、同姓同名の女知ってる」


茂樹は笑って、ソファの上でのけぞった。


「えー?マジっすか?でも、その手出したのが失敗の元でしてねー」


えっ?という表情で伊達が食いついてくる。


「僕が手を出す前から支社長の愛人だったんですよね、彼女」


「あらら」


「捨てられそうになってたみたいで。支社長へのあてつけに僕に近づいて、職場では三角関係って噂になっちゃいました。お陰で、通常より早くに関東へは戻れたんですが…」


ぐっとロックのブランデーを呷る。


「支社長の野郎が嫉妬であることないこと報告してくれちゃったお陰で、左遷対象ですよ。千葉のド田舎の支社に飛ばされました」


「で、今やキャバクラのマネージャーってか」


伊達が慰めるように、茂樹の肩をポンと叩いた。


茂樹は自嘲気味に笑って、うなだれた。


「あー、喋りすぎました」


顔を上げると、大きな窓の外に朝日が昇ってきたのが見える。


都心の高級マンション。


最上階のペントハウス。


伊達の成功の証。


茂樹は、ゆっくり立ち上がって、窓辺に歩み寄った。


「なんか制覇した気分になりますね。この眺め…」


酒臭い深呼吸をして、ガラスに身体を預ける。


「ソファで悪いけど、出勤まで寝てっていいぜ」


後ろから伊達の声がした。







出世を約束されていた僕が、一時の間違いで、水商売。


あのまま左遷先で耐えていればよかったのでしょうか。


他の会社への転職という方法もあったのに、自暴自棄になった僕は面倒から逃げて、一見華やかな世界に逃げ込みました。


それが表面だけだってこと…、今は嫌というほど思い知りましたけど。


なんだか郁美にもう一度会ってみたいと思いました。


もっと彼女を大事にしてあげればよかったけど、僕の浮気心が全ての元凶。


合わせる顔なんかありません。


はあ…、酔いました。


寝ます。


起きれば、またいつもと同じ日常が始まります。




 -終-


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香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
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