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* 第十二話 * ~茂樹の場合~ ⑤

郁美の車を僕が運転させてもらって、都内の実家の近くまでやってきました。


教習所以来のギア車の運転はなかなか面白かったです。


うちから少し離れた場所に停めました。


僕はキスくらいしたくて、すぐに降りずに、わざと運転席に乗ったままでいました。


なかなかタイミングが掴めなくて、他愛のない話をしばらく続けてしまいました。


車内の時計は23時半になろうとしています。


このあと一人、また運転して帰るんだから、早くしてあげないといけないのに、いざという瞬間が訪れないのです。


「ごめんね、なんか離れたくなくて、ダラダラ話しちゃった…」


郁美がそう言って俯きました。


その気持ちは痛いほど伝わってきていました。


だから、余計に唇を捉えるタイミングがうまくいかなくて…。


でも、郁美がそう言ってくれたことで、僕もなんだか気がほぐれました。


「目、つぶって」


僕は上半身をグイと助手席の郁美の方まで起こすと、そっとキスをしました。


「ん…」


先日は郁美の方から僕の唇を奪ったというのに、今夜はいやにしおらしいのは、やはり暫く会えなくなるからだったのでしょうか。


僕は思い切って、右手をシートの隙間に伸ばして、座席を倒しました。


郁美が潤んだ瞳で僕をじっと見つめます。


「可愛いよ…」


唇を合わせ、結び目を解くようにほぐしながら、右手を郁美の胸に当てがいました。


郁美の左手が僕の右手首をしっかり掴み、動きを封じようとします。


「ダメだよ」


吐息混じりの抵抗。


「なぜ?」


僕は攻め続けます。


「これ以上進んで、今度会えなくなるのが怖い」


それを聞いて、思わず郁美をギュッと抱き締めました。


郁美も僕の首に手を回しました。


「そんなことないよ。必ず電話するし、また会おう」


「じゃ、その時はエッチしよ…」


郁美は耳元で囁き、正直、制御出来なくなるかと思いました。


これでも一応オトナなので、なんとか抑えましたが。


最後にもう一度だけ軽くキスをして、姿勢を戻しました。


「やぁだ。窓曇っちゃった」


郁美はそう言って笑い、しんみりしそうな空気を吹き飛ばしました。


僕達は車を降りて、郁美が運転席に乗り込むと、パワーウインドウを下げました。


「じゃあね、明日お見送り行けないけど、気を付けて帰ってね」


「お前こそ、帰りに事故んなよな」


「うん、おやすみね」


僕は簡単に大通りまでの道順を教えると、郁美が角を曲がるまで、テールランプを見送りました。



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プロフィール

香月 瞬

Author:香月 瞬
短編小説を主に、様々な恋路を綴ってまいります。
友達のコイバナを聞くようなつもりで読んでいただけると嬉しいです。

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